ライフスキル(life skills)とは
ライフスキルとはWHO(世界保健機関)1994年に公表した学習プログラムで、次のように定義されています。
Life skills are abilities for adaptive and positive behaviour, that enable individuals to deal effectively with the demands and challenges of everyday life.
「日常生活に生じる様々な問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理的社会的能力」
具体的スキルとしては、以下の5組10種類があります。
1-1 意思決定スキル(Decision making)
1-2 問題解決スキル(Problem solving)
2-1 創造的思考スキル(Creative thinking)
2-2 批判的思考スキル(Critical thinking)
3-1 効果的なコミュニケーションスキル(Effective communication)
3-2 対人関係スキル(Interpersonal relationship skills)
4-1 自己認識スキル(Self-awareness)
4-2 共感スキル(Empathy)
5-1 情動抑制スキル(Coping with emotions)
5-2 ストレス対処スキル(Coping with stress)
従来の健康教育では、例えば「喫煙は健康を害する」という知識を与え、いかに喫煙による害が大きいかを伝えるものでした。
しかし、実際にそれで少年の喫煙は防止できません。喫煙による害に関する知識が一番あるはずの医師にも喫煙者はいます。
現実では、喫煙の多くは知人から勧められることから始まります。少年の場合は、喫煙は法に触れることなども理解しています。この勧められたときに、うまく断ることができれば、喫煙に結びつくことはありません。
この知人は先輩であったり、親しかったりするため、人間関係を壊したくないという気持ちも働きます。そのために人間関係を壊さず、うまく断ることができるスキルが必要になります。それが「効果的なコミュニケーションスキル」です。
大人の社会であっても、上司や先輩から飲みに誘われるということもあるでしょう。でも体調が悪い、お酒が飲めない、など断りたい理由があっても、人間関係を壊したくないから誘いにのってしまっていることも多くあります。
少年だけでなく、実は大人でも必要なスキルとも言えます。
このようなスキルを高めるのが、ライフスキル学習です。
WHOの精神健康部門では、酒・喫煙・薬物の乱用、妊娠、虐待、自殺、学校中退などの子どもをめぐる問題を防ぐために、学校の教育課程にライフスキルを導入すべきだとしています。