感覚を磨くメソッド2

  学校でも家庭でも地域でも何気なく「五感」を生かした教育は行われてきました。しかし、現代の社会では子どもの遊びや体験が少なくなり、意図的に遊びや体験の場をつくっていかなくては「五感」をいかすことができにくくなっています。学校でも家庭でも地域でもできるところから始めてはどうでしょうか。子どもも大人も楽しみながら。

自然のフィールドトリップ

●学校でできるメソッド

 小学校での学習と関連させて書いていますが、家庭や地域でももちろんできます。

 

〈視覚〉

1〈視覚を目覚めさせる〉あなたの利き目はどっち

 保健の「けんこうな生活」で自分の利き目を確認してみます。目の仕組みを知り、目の健康に気を付けることを学びます。

2〈視覚を発見する〉虫眼鏡や双眼鏡を使って、一つのモノをながめ続けよう

 生活科の「がっこうたんけん」「はるをさがそう」「はなをそだてよう」「なつをさがそう」「あきをさがそう」「ふゆをさがそう」「やさいをさがそう」「まちをたんけんしよう」「いきものをかおう」などの学習で、動植物やモノについて虫眼鏡や双眼鏡を使って一つのモノをながめ続けます。理科の「植物」や「いきもの」でも同じことが学べます。

3〈視覚で交流する〉「音のしないテレビ」と向き合ってみよう

 社会科の「情報」で、音声がある時とない時で、画面の見方がどのように変化するか考えてみましょう。音の役割に気が付きます。また、一枚の写真について試みると、新聞写真の読み方についても考えることができます。

4〈視覚で記録する〉お気に入りの風景を、記録してみよう

 図工の「絵画」で、風景を選び自分の目で徹底的に観察し、絵に記録します。ふだん意識化されていないいくつもの細部を発見します。国語の「作文」でも文章で表現すれば同じことが学べます。

5〈視覚で自分を知る〉自分の身体を細部にこだわって観察してみる

 保健の「からだ」で見ることをテーマに、自分の体を3つに分類します。見ていない部分、直接に見ている部分、間接に見ている部分。一人一人の特性としてありのままを観察します。理科の「からだのつくりとはたらき」でも同じような学習ができます。

 

 「総合的な学習」では視覚メソッドを参考にして、個人、グループ、学級などで研究テーマを設定します。具体的に視覚の体験を多く取り入れます。

 

〈聴覚〉

1〈聴覚を覚醒させる〉耳を澄ませて、たくさんの「音」を聞いてみよう

 生活科の「がっこうたんけん」「まちをたんけんしよう」で、できるだけたくさんの音を聞き逃すまいと思い、しっかり耳を澄ますことです。社会科の「まちのたんけん」でも同じです。音楽で「音の風景」という学習ができます。

2〈新しい音を発見する〉一つのモノから、新しい音を発見してみよう

 生活科の「みんなでつくろう フェスティバル」のような学習で自分なりの工夫で独特な音をつくります。音楽で「新しい音の発見」という学習ができます。

3〈声で他人と交流する〉「だれの声」か聞き分けてみよう

 学級活動の「友だちと交流する」学習で、ゲームにすることもできます。国語の「聞く」学習で応用できます。

4〈「音」を記録する〉「音」を、色と形を使って表現してみよう

 国語の「ことば」の学習で応用できます。「作文」「日記」の学習で応用できます。「音世界日記」はおもしろいテーマになります。図工で「あなたの耳に入ってきた音は何色でどんな形」というテーマで学習できます。

5〈声で自分を知る〉「五つの声」を使い分けて生活してみよう

 国語の「話し方」の学習で「いろいろな声」というテーマの学習ができます。

 

 「総合的な学習」では聴覚メソッドを参考にして、個人、グループ、学級などで研究テーマを設定します。具体的に聞く体験を多く取り入れます。

 

〈嗅覚〉

1〈嗅覚を目覚めさせる〉目をつむり、匂いを嗅いでみよう

 生活科の「がっこうたんけん」「はるをさがそう」「はなをそだてよう」「くさばなであそぼう」「なつをさがそう」「あきをさがそう」「ふゆをさがそう」「やさいをそだてよう」「まちをたんけんしよう」「いきものをかおう」など動植物やモノの匂いを嗅ぎます。決して「これはいい匂い、これは悪い匂い」という価値づけはしません。匂いの違いを発見するのです。理科の「植物」「いきもの」で同じ学習ができます。家庭科の「きせつにあうくらし」で、生活に関する匂いを嗅ぎ、同じ学習ができます。多様な匂いに囲まれて生活していることに気が付きます。

2〈嗅覚を発見する〉街の中で、匂いを発しているモノを観察してみよう

 生活科の「まちたんけんしよう」でお店、工場、公園などの匂いを嗅いでみます。社会科の「まちのたんけん」「ものをつくるしごと」でも、私たちの暮らしの中の匂いを体験し、できるならば分類してみましょう。

3〈嗅覚で交流する〉命の匂いを嗅ぎ分ける経験をしてみよう

 生活科の「はるをさがそう」「はなをそだてよう」「くさばなであそぼう」「あきをさがしにいこう」「ふゆをさがそう」「やさいをそだてよう」「いきものをかおう」などで匂いを入り口にして、積極的にいろいろな命に出会ってみます。理科の「いきものをしらべよう」「からだのつくりとはたらき」で応用できます。匂いを入り口に自分と他社の対話力をつけます。

4〈嗅覚で記録する〉フィールドを決めて、匂いを文字で記録してみよう

 生活科の「がっこうたんけん」では学校の匂いを記録します。国語科の「ことば」で匂いを表現することばを意識し、「~のような」という表現以外に、匂いそのものを表すことばをできるだけたくさん探してみます。

「総合的な学習」では嗅覚メソッドを参考にて、個人、グループ、学級などで研究テーマを設定します。具体的に匂いを嗅ぐ体験を多く取り入れます。

 

〈味覚〉

1〈味覚を目覚めさせる〉「食感」楽しんで食べよう

 家庭科の「料理」の学習で、食感を比べてみます。国語科の「ことば」の学習で、食感をめぐることばが多彩であることを子どもの体験から引き出します。

2〈素材の味を発見する〉調味料を使わずに食べたら、どんな味覚が発見できるだろう

 家庭科の「料理」の学習で、一部の食材について調味料を一切使用しないで調理し、味付けもしないで食べる体験ができます。食材本来の味を舌はどう感じるでしょうか。調味料の影響についても考えることができます。

3〈我が家の味を記録する〉我が家の自慢料理の味を記録しよう

 家庭科の「料理」の学習で、代表的な我が家の料理のレシピを選び、記録していきます。これは他の家と比べるのではなく、個人の記録として行います。

4〈好物で自分を知る〉自分の好物を素材にして自分を知る

 国語の「作文」「詩」の学習で、好物への愛を文章で表現してみます。図工科で好物の絵を描いてみます。社会科で自分と好物の歴史年表をつくり、歴史の導入に使います。

 

 「総合的な学習」では味覚メソッドを参考にして、個人、グループ、学級などで研究テーマを設定します。具体的に味覚の体験を多く取り入れます。

 

〈触覚〉

1〈触覚に目覚める〉一つのモノに触り続けてみよう

 「生活科」の「がっこうたんけん」「はるをさがそう」「はなをそだてよう」「くさばなであそぼう」「なつをさがそう」「あきをさがそう」「ふゆをさがそう」「やさいをそだてよう」「まちをたんけんしよう」「いきものをかおう」などで、動植物やモノを触り続けます。表面の質感や硬さ柔らかさを感じてください。理科の「植物」「いきもの」でも同じ学習ができます。

2〈触覚を発見すえる〉たくさんの紙の触り心地を感じ分けよう

 図工科の「工作」で手のひら、指先、ほほなどで紙を触り分け、感じ分けます。そのいろいろな紙で工作をしてみましょう。社会科の「地域の伝統工芸」で、和紙などを例にして紙の質感の特徴を指先で覚えさせましょう。

3〈触覚で交流する〉大切なモノに触れて、記憶を引き出そう

 生活科の「できるようになったこと」で自分の宝物に触れ宝物にまつわるさまざまな過去を思い出させましょう。

4〈触覚を記録する〉手のひら日記を書こう

 国語科の「作文」や学級経営での「日記」指導として、そのものずばり「手のひら日記を書こう」というテーマで学習します。

5〈触覚を使って自分を知る〉自分の身体を隅々まで触ってみよう

 理科の「からだのつくりとはたらき」の導入で、自分の身体を触ってみましょう。どこが触れないところでしょうか。自分の身体と対話をしましょう。保健の「けんこうなせいかつ」の「けがのてあて」の導入として活用できます。

 

 「総合的な学習」では触覚メソッドを参考にして、個人、グループ、学級などで研究テーマを設定します。具体的に触れる機会を多く取り入れます。

(作品、写真、イラストは共著『子どもを育てる五感スクール 感覚を磨く25のメソッド』東洋館出版、2006年。から引用しました。)