​LIFE SKILL

Q&A

Q どうしてライフスキル学習が必要なのですか?

 

A 今の児童・生徒は、このような実態です。

 

友だちって、何? パート別友だち― 小学校編

 A男は、風邪で3日欠席しました。風邪が治って登校するとA男は、欠席した3日間の情報が全くないことがわかりました。

 A男は、友だちがたくさんいるように思った担任のG先生は、A男を観察することにしました。A男は、休み時間は、K男グループと図書の時間は、T男と 放課後は、S男とパート別な友だち関係をもっていることがわかってきました。

つまり、何となくウマが合う、一緒にいたい、お互いに理解し合うような友だち関係ではなくて、休み時間ボール遊びはK男とのような関係なので、心のつながりがあるような友だちがいないのです。

 こうしたパート別友だちは、増えてきています。

また、小学校高学年の女子は、時には、中学生と同じように考えて対応しないと問題が大きくなることがあります。中学生女子の一般的な傾向として「チャム」があります。「一緒にいること」「同じであること」への圧力が強く「同じでないこと」は、「ハブ」-仲間はずれにされることにつながるからでです

 K先生のクラスで12月に「お楽しみ会」の企画が学級会で話し合われて、グループごとに出しものをすることになりました。D子をリーダーとする6人のグループは、AKB48のダンスのマネをすることになりました。このグループにいつも同じ行動をしないC子がいました。C子は、下校時は、家が近いT子と帰宅して、そのまま、T子と遊ぶことがよくありました。これを快く思わないD子は、楽しみ会の衣装をD子だけ知らせないことにして、他のメンバーに口止めをしました。お楽しみ会の前日、グループのB子の母親が何げなくC子の母親に話したことから、すぐK先生に伝わり、普段着でのお楽しみ会になりました。このC子のような女子の事例は、少なくありません。

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ガラスのようにもろい中学生ー中学校編

 

 小学生の頃から、クラスに苦手な友達がいた。できれば、違うクラスになってほしかった。中学に入ると、小学校と違っていろいろな小学校から集まってきた男子同士のちょっかいも多い。1年生の時は、そういうのに巻き込まれないように過ごすのがひと苦労だった。

2年生になってからは、誰にでもすぐにちょっかいを出すA君が、すれ違いざまに理由もなく顔を平手打ちしてくることがあって、そのたびに担任の先生に注意してもらってきた。でも先生がA君を怒っても本当に反省なんかしてい

ない。苦手だったのに今年もまた同じクラスになってしまった。違うクラスになれると思っていたので新クラスが発表された時には本当にがっかりした。クラスが同じだから、やっぱりすれ違った時などにあいさつの様に顔を平手打ちされることが数回あり、それがすごく嫌だった。

 3生生になって休んでしまうことが多くなって親が心配している。

 苦手な仲間と適当な距離を保っていくスキルを学ばないまま中学生になりました。こうした中学生は、おちらこちらにいます。

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友だちをブランドのように選ぶ―高校生編

 

TVで35歳の主人公が高校生として在籍し学校が抱える様々な問題を解決していくというドラマがありました。そのドラマのなかでは、クラスは、目立った存在でクラスの中心となる「一軍」、ごく普通の生徒であり一軍の顔色をうかがう「二軍」、時にはいじめの対象にもなってしまう「三軍」に分かれるということが描かれていました。もちろんテレビドラマの話ですが、全く嘘ではないかもしれないと思うところもあります。先日も、高校3年生の女子生徒Aさんから「最近友人とけんかをしてしまい、グループの中で仲間外れになり嫌な目にあっている。」という相談を受けました。そのクラスには保健室によく訪れるおとなしい女子生徒Bさんがいるので、「Bさんは、とてもやさしいので、おもいきってBさんのグループに入れてもらうという方法もあるね。」と提案すると、「そんなジミーズ(地味な集団という意味)なんかと一緒にいったら周りからなんて思われるか分からないから嫌だ」という答えが返ってきました。この生徒はクラスのなかでも目立つグループに所属していることに、自分の存在価値があると考えているのです。友だちをブランドのように選んでいるのではないかと思う節があります。しかし、本来、友だちとはお互いに分かち合い、喜びや悲しみを共有できる存在ではないでしょうか。でも今の高校生は、「友だち」についての価値観が曖昧な上に、クラスのなかの自分の立ち位置で友だちを選ぶことが多いのです。

このような生徒には「友だちがいないと思われるのが嫌だと周囲の目ばかり気にしているけれど、あなたのことを大切に思っていない友だちと一緒にいるのが、あなたにとって価値のあることなの?」と問いかけるようにしています。

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友だちができないー大学生編

      

 朝日新聞社主催で早稲田大学、中央大学、日本大学、関西学院大学などの8大学の総長、学長が集まり、あるシンポジュウムが開催されました。そのシンポジュウムの打ち合わせの懇談会で、8大学の総長、学長らトップが同じ悩みを口にしました。4月に新学期が始まって1,2ヶ月で少なからぬ学生が大学にこなくなるというのです。いわゆる「不登校状態」です。それぞれの大学で調べた結果、ほぼ同じ傾向が見られました。

それは、大学へ入学したものの、初対面の学友に話しかけることができず、友だちができないので、自然に大学がつまらなくなり、大学に登校しなくなるのです。友だちを求めていてもその気持ちの表現の仕方がわからない、逆に話しかけられたらどう答えればいいのか?異性への接し方、、、、そこまで面倒をみてもうまくいかないと総長,学長らは頭を抱えているとのことです。

もちろん元気に学んでいる学生はたくさんいます。そうでない学生が気になるほど増えてきているのです。

 また、ゼミで知らない者同士が、議論するのに必要なスキルや心構えがなくなってきたと聞きます。

 その学生に教授が批判的なコメントをすると、研究室を変わる活動を始めたり、ゼミの学生が否定的なコメントをするとその場でケンカになると言います。また、ある学生は、ゼミの学生全員の誕生日を調べ、密かに誕生日会を用意したのですが、その企画を知らない当事者が休んで、もめごとになるというような話も伝わってきます。

 人間は、他人との関係で生きています。人間から「間」をとるとヒトになってしまいます。これは、人と人との距離感覚を学ばないまま大人になった大学生の実例です。

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伸び悩む若手教員―(OJTの現実)


 子どもたちの自尊感情(セルフエスティーム)を育てる為には、教員一人ひとりが自尊感情(セルフエスティーム)を高めていく必要があります。しかし、現状をお知らせすると困ったことが多いものです。
 団塊の世代教員の大量退職に伴い若手教員が大量に採用されています。その若手教員が伸び悩んでいます。教師の仕事は本を読んでわかるものではなく、実際に仕事を通して失敗を繰り返しながら覚えていくものです。その意味では「職人の世界」です。若手教員の大量採用の為、自治体主体の研修会が困難になり、校内で若手教員を育てる試みがなされています。OJT(On-the-job Training)―と言います。これは、アメリカで開発された企業内教育訓練方法の一つです。
 ①    やって見せる。
 ②    説明する。
 ③    やらせてみる。
 ④    ③の修正、改善
が基本ですが、子どもたちの反応がその都度、違うため先輩がA授業案で授業して新人が同じ授業案で授業しても上手くいかないのが、この世界です。教材の解釈の仕方、教科の指導の仕方、板書の仕方、評価の仕方等は、学ぶことができます。その若手教師自身、自分が子どもの頃の「教師像」の原型があります。ですから、くぎを打ったことがないような人に教える「大工さん世界」とは違うのです。
 団塊の世代教員が若手教員時代には「先輩から学ぼうという気概があり、学べる時間的な余裕があり、若手教員を育てていくという学校、地域、保護者の温かい目」がありました。しかし、現在は、そのような時代ではなくなりつつあります。地域、保護者、子どもが変わり、そして、若手教員の意識もまた、変化しています。
 こんなことがありました。実話です。
 
 学校行事の朝、若手教員が先輩教員から仕事を教えてもらうことになっていました。先輩教員は、約束した時間より5分早く学校に着きました。ところが若手教員が職員室にいません。仕事の内容を伝え合うことができませんでした。
あとで確認すると若手教員は、約束した時間の20分前に学校に着きました。ところが職員室に誰もいないので、自分の教室に行って学級の仕事をしていたのです。このような時、若手教員は、コーヒーの準備等をしながら、職員室で先輩教員を待つのが「暗黙の了解」でした。それが若手教員には通用しなくなっているのです。こうしたことが、少なくありません。先輩教員から伝えられる生の情報は「児童理解、保護者対応、評価の仕方、叱り方、悩み、失敗例」など「総合教師論」のようなものです。先輩教員から学び、一緒に仕事をしていく中で、修正したり疑問を直接聞いたりすることで、自分の財産にすることができます。しかし、この実例のように先輩から学ぶ機会を生かすことができず、また、学校全体に事務的な仕事量が増え、先輩教員も若手教員も時間的余裕がなくなりつつあります。ある中堅教員研修会でのことです。話題が若手教員のことになり、講師の質問に「わざわざ若手教師に教えにいかない」と85人中83人が答えています。
「教育技術」に関する本が次々に出され、必要とされたのは、このような背景があると思います。しかし、この若手教員の伸び悩みは、解決されていません。教師は、一人で仕事をしなければならないことが少なくありません。授業には、研究授業がありますが、研究保護者会、研究個人面談、研究通知表作成は、ありません。保護者会、個人面談は、どんな質問が出てもすぐ対応しなければなりません。対応を間違えると誤解や不安を与えてしまいます。
 最初の保護者会で自己紹介をしたら自慢話をしている、と言った母親がいました。価値観が多様化した時代、自己紹介を自慢話と受け取る母親がいることも考えておくことが大切です。

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