Let's learn Newspaper Literacy
新聞の読み方

新聞

新聞離れが止まらない

 新聞リテラシーの前に新聞離れが止まらない現象を理解しておきましょう。

 おそらくその原因は、インターネットの普及と活字離れ、新聞への魅力の低下などにあることでしょう。

 東洋経済ONLINEの1月10日配信の「昨年も180万部減、全然止まらぬ『新聞』衰退の末路」に注目してみました。

 記事の冒頭次のような文章があります。

「2021年末に公表された日本新聞協会の最新データで、一般紙の発行部数が3000万部割れ寸前まで落ち込んだことが明らかになった。

 日本の新聞は高度経済成長期の1966年に3000万部台に乗り、その後は1990年代末の5000万部超まで拡大した。しかし、その後は下降を続け、部数減が止まる気配はまったくない。このまま進めば、本年中に一般紙は3000万部台を割り込むことが確実。高度経済成長以前の水準まで落ち込むのも時間の問題になってきた。」

 具体的にどのくらい減少してきたのでしょうか。スポーツ紙を除く一般紙で見ていきましょう。記事の中に「新聞発行部数の推移」の統計があります。この20年ぐらいで見ていきましょう。

2000年 47401669部

2021年 33027135部

14374534部減、およそ20年間で約1437万部減少したことになります。

 

ABC協会新聞発行レポートから新聞各社の最新の発行部数を見てみましょう。データは2021年上半期(1-6月)のものです。

【全国紙】

読売新聞   7166592部 前年同期との減少率 7.0%

朝日新聞   4751459部     〃     7.9%

毎日新聞   2011884部     〃    10.6%

日本経済新聞 1887070部     〃    11.4%

産経新聞   1205916部     〃     9.3%

【ブロック紙】

中日新聞   2020387部     〃     5.4%

北海道新聞   881318部     〃     4.2%

中国新聞    538612部     〃     6.3%

西日本新聞   479398部     〃     6.8%

河北新報    392299部     〃     4.9%

 

 この新聞離れ食い止めることができるのでしょうか。それとも新聞はさらに衰退していってしまうのでしょうか。新聞界全体の課題でしょう。

 

東京オリンピックのスポンサーに新聞6社が これって大丈夫なの?

 1年延期になった東京オリンピックは、2021年7月23日~8月8日に開催されました。この間東京の新型コロナウイルスの感染者は1日5000人を超え、医療崩壊が発生し、都内の感染者は54244人にのぼったとされます。

 このような新型コロナウイルスの状況下で、オリンピック開催に対する国民の賛否が起きましたが、新聞メディアの盛り上がりには欠けるものがありました。

 それは、全国紙の読売新聞社、朝日新聞社、毎日新聞社、日本経済新聞社が国内スポンサー第2位のオフィシャルパートナーになっており、産経新聞社とブロック紙の北海道新聞社が国内スポンサー第3位のオフィシャルサポーターになっていたことに関係しているのでしょう。全国紙全てがスポンサーになっているのです。この事実はオリンピックに対する批判がきちんと記事になるのかというメディアとしての本質的な問題を抱えているのではないでしょうか。

 この東京オリンピックの問題とメディアの関わり方に鋭く切り込んだ著書に、本間龍『東京五輪の大罪―政府・電通・メディア・IOC』ちくま新書、2021年(820円+税)。があり、ぜひ一読されることをお薦め致します。

webちくまに本書の書評「五輪が《オワコン》であることを明確に証明した記録」をスポーツジャーナリストの玉木正之氏が執筆されています。参考にしてください。

 

 2030年の冬季オリンピックに札幌が誘致されるかもしれない状況ですので、この本がその判断を示す羅針盤になるかもしれません。

 他にも、米国のオリンピアン政治学教授ジュールズ・ボイコフ著『オリンピック秘史 120年の覇権と利権』早川書房、2018年。(2200円+税)、『オリンピック反対する側の論理 東京・パリ・ロスをつなぐ世界の反対運動』作品社、2021年。(2700円+税)などが参考になります。

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読売新聞大阪本社と大阪府が協定、これって大丈夫なの?
「読売新聞大阪本社、府と協定」『朝日新聞』2021.12.28朝刊に次のような記事が掲載されていました。ネットでは記事掲載以前に疑問の意見が出ていました。
 「大阪府と読売新聞大阪御社は27日、情報発信や教育・人材育成、子ども・福祉、地域活性化、環境など8分野についての包括連携協定を結んだ。府によると、府が報道機関と同様の協定を結ぶのは初めて。吉村洋文知事と読売新聞大阪本社の柴田岳社長が署名した。
情報発信分野では、朝刊に折り込みで配布される生活情報誌や同社のSNSで、府関係のイベントなどの情報を告知することを想定しているという。協定書には『取材、報道、それらに付随する活動に一切の制限が生じないこと』と同社に対する『優先的な取り扱いがないこと』を確認する内容が明記された。」とあります。
 特定の新聞社が行政と協定を結ぶこと、大阪の場合府知事や市長が維新関係者であることから、読売新聞と維新の会との関係が疑われます。読売新聞は大阪府や維新の会への問題点を追求できるのでしょうか。このような関係が新聞界全体のルールから見過ごされていることに驚きを感じます。「李下に冠を正さず」の諺は新聞界では通用しないのでしょうか。新聞の発行部数減少を食い止めるのに手段を択ばないのでしょうか。

NHK事実確認せず放送 河瀬直美さん密着のドキュメンタリー これって大丈夫なの?
 『朝日新聞』2022年1月10日朝刊に「『五輪反対デモ参加』『お金もらって』」「NHK、事実確認せず字幕」の見出しで次のような記事が掲載されていました。ネットでは記事掲載以前に疑問の意見が出ていました。
 「昨年12月にNHK・BS1で放送した映画監督の川瀬直美さんらに密着したドキュメンタリー番組について、制作したNHK大阪拠点放送局は9日、『字幕の一部に不確かな内容があった』と明らかにし、陳謝した。番組に登場した男性について、報酬をもらって五輪反対デモに参加していると字幕で説明したが、実際にデモに参加した事実は確認していなかったという。
 NHKは同日夜、BS1で『映画製作などの関係者のみなさまにおわびいたします』などとする2分間の放送を流した。
 番組は、BS1スペシャル『川瀬直美が見つめた東京五輪』。今年6月に公開予定の東京五輪の公式記録映画の制作を進める河瀨さんらに密着取材し、昨年12月26日に放送された。NHKは『取材と制作はすべてNHKの責任で行っている』として、『川瀬さんらに責任はない』としている。
 NHKによると、不適切な字幕があったのは、川瀬さんの依頼で五輪反対を訴える市民らを取材していた別の映画監督に密着したシーン。この監督が話を聞いていた匿名の男性について、番組では『五輪反対デモに参加している』『お金をもらって動員されていると打ち明けた』とテロップで紹介した。テロップは担当ディレクターが独自に補足取材した内容に基づいて作成したが、実際には、男性が五輪反対デモに参加した事実は確認できていなかったという。放送後、視聴者から複数の問い合わせが寄せられ、NHKは今年1月に再び男性を取材。その過程で、男性が撮影当時、『過去に(五輪以外の)複数のデモに参加したことがあり、金銭を受け取ったことがある』『今後、五輪反対デモにも参加しようと考えている』といった趣旨の発言をしていたことが判明。字幕の内容とは異なっていたという。
NHKは捏造の意図はなかったと説明した上で、『制作担当者の思い違いや取材不足が原因。担当者間や取材対象者とのコミュニケーションが足りていなかった』と言及。放送前に関係者間で複数回の試写が行われたが、修正には至らなかったという。」
 複数回の試写が行われて、問題の場面について誰も言及していないことが驚きです。何か意図があったと思わざるを得ません。オリンピックに反対する側の問題点を出すことに狙いがあったのでしょうか。

 『朝日新聞』2022年1月12日朝刊に「事実と異なる内容、残念」「NHK番組 河瀬直美監督コメント」の見出しで、次のような記事が掲載されていました。
 「年末にNHKがBS1で放送したドキュメンタリー『河瀬直美が見つめた東京五輪』に不確かな内容があった問題で、映画監督の河瀬直美さんがコメントを出した。番組は、東京五輪公式映画の総監督を務める河瀬さんに密着したもので、この中に登場する男性のことを、報酬をもらって五輪反対デモに参加していると字幕で説明したが、実際にデモに参加した事実は確認していなかったという。コメントで河瀬さんは『公式映画の担当監督の取材において、当該男性から「お金を受け取って五輪反対デモに参加する予定がある」という
話が出たことはありません」とし、その上で『今回のNHKの取材班には、オリンピック映画に臨む中で、私が感じている想いを一貫してお伝えしてきたつもりでしたので、公式映画チームが取材をした事実と異なる内容が含まれていたことが、本当に残念でなりません』と述べた。」

 今回放送されたタイトルは「河瀬直美が見つめた東京五輪」です。最も疑問に残るのは、NHKは「放送前に関係者間で複数回の試写が行われた」としていますが、関係者に河瀬直美氏が入っていなかったのでしょうか。今回のコメントがどうも他人事のように感じてしまいます。河瀬直美氏自身もオリンピックに反対する側の問題点を放送したかったのではないかと考えてしまいます。
 
『週刊文春』2022年1月20日号では「NHK密着取材番組が捏造」「五輪反対デモは金で動員」「クローズアップ 五輪公式映画監督 河瀬直美」の見出しで、今回の出来事を追いかけている。「NHKが謝罪に追い込まれた捏造番組。『五輪反対デモ参加者は金をもらっていた』旨の字幕には明確な敵意が透けて見えた。『招致したのは私たち』と語り、放送後の炎上にも沈黙を貫いた河瀬氏とは、どんな人物なのか。」と記事の要約。雑誌の発行は1月13日で、その前日の12日には上記の『朝日新聞』の記事が掲載されているので、「沈黙を貫いた」というところは当たっていませんが、これは編集上しょうがないことでしょう。
 記事には「今回NHK側は『NHKに全ての責任があり、川瀬氏の責任ではない』と強調し、火消しに躍起になっている。だが、疑問は残る。河瀬氏はNHKに長期密着を許し、放送前は自身のHPやSNSで『ぜひご覧ください』とアピールするなど、同番組はまるで共同プロジェクトの趣だ。番組に捏造があれば、公式映画の前評判にも直結する重大事なのに、放送から半月の間、抗議などを表明することもなく、NHK謝罪後の一月十日に『本当に残念』などとコメントするだけだった。」「今回も河瀬氏がNHKを使って自身を宣伝しようとした面は否めない。」とあります。
 一番大きな問題は河瀬直美氏が事前に試写していたのかですが、文春の記事にもこのことは書かれていません。これからこの問題をメディアがどのように報道していくのか追いかけてみます。
 
 『朝日新聞』2022年1月14日朝刊に「NHK字幕問題 制作側に甘さ」「捏造、改めて否定■チェック働かず」「識者『重大な倫理違反』『なぜスルーしたのか』」の見出しで次のような記事が掲載されていました。
 「問題となっているのは番組後半、映画監督の島田角栄さんを追いかけたシーンだ。島田さんは河瀬さんの依頼を受け、五輪にまつわる様々な声を取材した。」とあります。それならば、問題の解決には河瀬さんと島田さんを十分取材していくことが求められるのではないでしょうか。
 識者の声として、法政大学の藤田真文教授(メディア論)は「取材対象の発言の裏付け取材をしていなかったのであれば、重大な放送倫理違反があったことになる。裏づけ取材をせずにそのまま報道することがあってはならない」
とします。立教大学名誉教授の服部孝章名誉教授(メディア法)は「取材で確認できていない内容を字幕にしたという点で、今回は事実上の捏造に当たると考えられる。なぜ、スルーしてしまったのかが大きな問題。NHKは問題を矮小化せずに、徹底的に自己検証すべきだ」としています。
 1月19日にNHKは放送総局長会見を開きましたが、次の日の20日朝日新聞朝刊には「試写で確認支持」「字幕修正至らず NHK徹底不十分」の見出しで次のような記事が掲載されていました。
 「この日開かれた放送総局長会見での担当者の説明によると、問題の字幕は試写段階から入っており、プロデューサーは字幕の事実関係を確認するよう指示。しかしディレクターは、一緒に話を聞いた島田さんに『デモに行く予定がある』という話を聞いたことを確認しただけで、男性本人への確認もしなかったという。ディレクターはこの確認だけで『確認した』と報告。プロデューサーは『お金をもらって動員』という点も確認したという。
 翌日の『朝日新聞』2022年1月21日朝刊に「島田氏『事前確認なかった』「番組字幕問題 NHKに訂正求める」の見出しで次のような記事が掲載されていました。
 「島田さんは朝日新聞の取材に『(島田さんが)取材した事実と異なる』とした上で『放送前にディレクターからの事前確認はありませんでした』と反論。19日の会見での説明内容について『NHKから事前に事実確認がされることもありませんでした』として、NHKに抗議し訂正を求めたという。朝日新聞はNHKに島田さんの指摘について確認を求めたが、NHKは『島田監督には何ら責任はなく責任はすべてNHKにあります』などと回答し、確認に応じなかった。」
 『朝日新聞』2022年1月25日朝刊に「『監督に確認』誤り」「NHKが訂正謝罪 番組字幕問題」」の見出しで次のような記事が掲載されていました。「ディレクターが試写の後に、字幕のもとになった話について映画監督の島田角栄さんに聞いているとしていた19日の記者会見での説明を撤回し、島田さんに謝罪したこともあきらかにした。」
 
「五輪反対デモ参加者は金をもらっていた」と発言した男性はどのような人なのでしょうか。そして、取材対象にしたのはNHKなのか、河瀬直美さんや島田角栄さんなのでしょうか。番組のチェックに河瀬直美さんは関わっていたのでしょうか。事実はどこにあるのでしょうか。
これからこの問題をメディアがどのように報道していくのか追いかけていくことが必要でしょう。

 YouTube「一月万冊」ではこの問題を含め、政治やメディアなどの話題を報じていますので、参考にして下さい。
 毎回(1日数本UP)清水有高氏と常連の方との対談形式で進められます。
 私は常連の方では、元朝日新聞記者でジャーナリストの佐藤章氏、元博報堂社員で作家の本間龍さんが出演する動画が好みです。