NIEのアイデア
実践をもとにアイデアを提供しています。実践はかなり前のものですので、参考にして現在ではどのようにできるか考えていただければと思います。
1.新聞が読めるためのスキル
新聞を読めるようになるのは、そんなに簡単なことではありません。日常学習することの積み重ねにより読解力、思考力、表現力などの学力を身に付けることが新聞を読む力(考え、伝えることも含みます)に大きな役割を果たします。そのような読解力、思考力、表現力とともにいろいろなものを活用する技能としてのスキルを身に付けることも、新聞を読むことに貢献します。ここではそのようなスキルを具体的に提案すると共に私の小学生の娘が実践していることを書きます。
地図帳、地球儀を活用する
私の40年近くのNIE実戦経験から、新聞記事を読めるようになる一番の近道は地図帳、地球儀を活用できるスキルをもつことです。新聞記事を読んでその記事の場所がどこにあるかが分かると新聞を読むことの動機付けがぐんと高まります。地図帳や地球儀で次の内容を検索できるスキルを身につけましょう。
自分が住んでいる市区町村の位置と名前
都道府県の位置と名前
都道府県庁所在地
政令指定都市の位置と名前
国の位置と国名
首都の位置と首都名
日本地図でのスキル実践
当時小学1年生の娘が幼稚園の時にいただいた「にほんぜんこく おいしいものちず」(キンダーブック3 04年5月号付録)は小学生が日本の都道府県を理解するためには、とても興味深く学習できるものです。これを活用して都道府県の位置と名前を名産物と一緒に理解しています。そして、テレビや新聞のニュースの場所を一緒に探しています。
世界地図、地球儀でのスキル実践
娘が地球儀に関心をもったので、地球儀「オデッセイグローブ」(学研トイホビー)をクリスマスプレゼントしました。タッチペンで地球儀をタッチするといろいろな国、都市、海の情報が学べる英語表記の地球儀です。この地球儀と地図帳(「小学生の地図帳」帝国書院版)を組み合わせて世界の国々の位置と名前を見つけています。
娘の提案でこんなこともしてみました。よく娘と一緒に横浜の野毛山動物園にいきます(入園料は無料です)。そこにいる動物は世界各地からきているので、動物園に行って動物が飼育されている場所にある生息している地域の地図をてがかりに国を調べました。国名は地図帳で一緒に探して娘がメモをしました。もちろん、何回も見ていますがしっかり動物も観察しました。家に帰り娘のメモを手がかりに動物が生息している国をこの地球儀で示そうというものです。
娘がメモした動物と国名は次のようです。
ハゴロモヅル 南アフリカ
レッサーパンダ 中国
チンパンジー 中央アフリカ、カメルーン、ナイジェリア、ベナン、ガーナ
マントヒヒ ソマリア、イエメン
アミメニシキヘビ タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン
メガネカイマン ブラジル
アムールトラ ロシア
ライオン ソマリア、エチオピア、ケニア
コサンケイ ベトナム
キリン ケニア
ベニイロフラミンゴ メキシコ、キューバ
エミュー オーストラリア
フタコブラクダ 中国
アカエリマキキツネザル マダガスカル
アビシニアコロブス カメルーン、中央アフリカ、スーダン
コンドル ペルー、チリ
野毛山動物園に行った直後にこんな記事が掲載されました。「カバ食べられ絶滅危機 コンゴの国立公園 3万頭→600頭」(「朝日新聞」06年12月29日朝刊)。掲載されたカバの写真を見ながらこの記事はどのような内容か簡単に娘に紹介しました。そして、掲載された「カバが少なくとも千頭いるとされる国」の地図を見ながら、地球儀「オデッセイグローブ」でその場所を示しました。
動物園に関心がある娘は、日常自然の中でもいろいろな動物に関心をもっています。秋から冬にかけて多摩川にユリカモメが来ます。この季節に必ずユリカモメと遊んでいます。
2.ニュースロゴをつくってみよう
「朝日新聞」2002.11.20夕刊に、「06年ドイツ W杯ロゴが決定 明るい笑顔を組み込む」という見出しの記事がありました。AP通信配信の写真のキャプションには「大会のロゴを発表する06年W杯組織委員会のベッケンバウアー会長」とあり、大会ロゴが写っています。このロゴを4年生に見せたら、「かわいい」と大評判でした。日韓ワールドカップのロゴに比べて、はるかに子どもには親しみやすいものでした。このロゴをヒントに、4年生の子どもたちが「ニュースロゴづくり」に取り組みました。ニュースをロゴに表現してみるのです。
ニュースロゴの前に、NIEロゴを紹介します。これも子どもがつくりました。
少しニュースが古いです。それぞれどのようなニュースなのかネットで調べて、そのロゴが面白いか考えてみてください。
3.記事の現場を訪ねる
新聞記事を読んでその現場を訪ねたいと思うことはよくありますね。ここでは、家族で学ぶファミリーフォーカスの1つの在り方として、小学生の娘と一緒に記事の現場を訪ねる記録を紹介します。
等々力渓谷を訪ねる 06.8.4実施
毎日新聞06.7.12夕刊掲載「歩きたい 赤瀬川原平の散歩の言い訳 第14回等々力渓谷」より
東京都世田谷区にある等々力渓谷。すぐとなりの大田区に住んでいますが、初めて訪ねました。東急大井町線等々力駅を降りて、少し歩くともうそこは渓谷です。娘もびっくり。娘は少しこわごわ渓谷に沿って歩いていました。黒アゲハが行きはお迎え、帰りはお見送りしてくれました。都会の中の静けさを娘と一緒に実感しました。等々力不動尊も見学し、そこにある茶店でラムネとイチゴ氷を味わいました。しっかり、五感を働かせて自然を満喫しました。
富士山の初冠雪を見て、スケッチする 06.10.8実施
朝日新聞06.10.8朝刊掲載「富士山に初冠雪」より
「甲府地方気象台は7日、富士山の初冠雪を観測した」という記事を読みました。我が家は多摩川の近くにあります。多摩川に行くと富士山が見られます。早速娘と富士山の初冠雪を見に行きました。夕方のため夕焼けに染まった富士山も見ることができました。最近娘と多摩川の風景をスケッチしているので、初冠雪の富士山もスケッチしてみました。
多摩川をスケッチしていると、いろいろな風景に出会えます。9月18日には、こんな夕焼けを見ました。自然の美しさを娘と共に味わいました。
小便小僧の装いを見に行く 07.1.8実施
朝日新聞06.10.23朝刊東京版掲載「小便小僧の装い 欠かさずパチリ」より
「季節や時の話題にちなんだ衣装で乗降客の目を楽しませている、JR浜松町駅(港区)のホームの名物『小便小僧』。毎月の衣装の変遷を12年間撮影し続けている人がいる。」こんな記事に注目し、お正月にはどんな衣装を身に付けているのか、娘と一緒に浜松町駅のホームまで見に行きました。小便小僧の衣装は「20年前からは同区の手芸グループ『あじさい』が引き継ぎ、毎月26日ごろ、着せ替え作業をしている。」ようです。今年のお正月には、紋付はかまの衣装で、いのししと門松が横に置いてありました。
この日は他に、渋谷駅のハチ公の銅像横に置かれた、東急東横線の昔走っていた緑の車体も見に行きました。車内には展示もあります。また、多摩川駅の近くの多摩川台公園にある、亀甲山(かめのこやま)古墳、多摩川台古墳群と展示室にも行きました。2つの場所は以前新聞記事に掲載された場所です(いつの記事か不明ですが)。
「星の王さま」の原画を見に行く 07.5.5実施
朝日新聞07.4.4朝刊掲載「『星の王子さま』原画 日本にも」より
「世界的なベストセラー、サンテグジュベリの『星の王子さま』の挿絵の原画が山梨県内の美術品所蔵から見つかった。」という記事です。発見された原画は世界で6点だけで、日本では初めてだそうです。今回発見された「実業屋」の原画は、東京・銀座の松屋で開かれる「サン=テグジュベリの星の王子さま展」で公開されると書かれていました。そこで、娘と一緒に見に行きました。その前に『星の王子さま』(中央公論新社刊)の読み聞かせを行いました。松屋の展示会では映像があったり、体験するコーナーがあったりして娘は結構楽しんでいました。ついでに娘と一緒に銀座を歩いてみました。
川崎大師の風鈴市に行く 07.7.20実施
朝日新聞07.7.3夕刊掲載「いざ 夏市へ 川崎大師 風鈴市」より
「『高知・くじら風鈴』『沖縄・ビードロ風鈴』『18金の風鈴』『銀の風鈴』……。初詣の名所・川崎大師の境内に、梅雨空が空けるころ、全国47都道府県から800種2万5千個の個性豊かな風鈴が勢ぞろいする。」という記事が目に止まり、終業式が終わった娘と一緒に川崎大師に出かけました。全国各地の風鈴に娘も興味を持ち、デジタルカメラで写真を撮っていました。特に興味をもったのは、山口県のふぐの風鈴でした。早速家に帰りベランダにつけるとすてきな音色が聞こえてきました。
この日の川崎大師の境内ではお猿さんの芸も見ることができました。記事の情報にはなかったもので娘も大喜び。口を押えて笑っていたのがとても印象に残りました。
「試写室」紹介番組を観る 07.8.25実施
朝日新聞07.8.25朝刊掲載「試写室 ミヨリの森」より
「心を閉ざした孤独な少女が森の精霊たちと出会い、癒され、成長していく物語。『火垂るの墓』『時をかける少女』で美術監督を務めた山本ニ三監督の初監督作品。日本の自然が美しく、繊細なアニメーションで描かれている。母が家を出て行き、田舎の祖父母に預けられたミヨリ。不仲な両親のもとで、孤独を感じながら育ち、祖父母や新しい学校の友人の前でも素直になれない。散歩に出掛けた森で不思議な出来事に遭遇する。実は幼いころ、森の精霊たちから『守り神』に選ばれていたのだ。姿を現した精霊たちから『森を守ってほしい』と頼まれる。精霊や祖父母、友人と接するうちに、母に対しても心を開いていくミヨリ。この森がダムの底に沈む運命と知り、森を守ろうと決意する。ちょっぴりキモカワイくて、ユーモラスな精霊が印象的。家族みんなで楽しめる、夏休みの最後にふさわしい作品だ。」(青山祥子)
数日前に映画館で「河童のクゥと夏休み」を映画館で娘と一緒に観ました。その続きで「ミヨリの森」を娘と一緒に観ました。2つのアニメーションに共通しているのは「家族」と「環境」ではないかと娘と話し合いました。
これも1つの「記事で現場を訪ねる」方法かなと考えています。
東急多摩川線の「現代アート」を見に行く 07.11.23実施
朝日新聞07.11.6朝刊東京版掲載「現代アート、駅彩る 東急多摩川線」より
「太田区内を走る東急多摩川線(多摩川ー蒲田)の7駅すべてを、オブジェや現代美術などで彩る『多摩川アートラインプロジェクト』が11日まで開かれている。」
我が家の最寄駅は東急多摩川線にあります。娘もよく使う路線です。期間は過ぎましたがいくつかの作品が残されていたので、娘と一緒に見てみました。武蔵新田駅のホームにある作品のベンチに腰かけてみました。
江ノ島電鉄途中下車の旅 08.1.7実施
朝日新聞07.10.30夕刊be evening「日本一のローカル線を途中下車」より
「車窓の眺めが楽しく『乗って良し』、沿線にみどころ多く『降りて良し』、かわいい車両を『撮って良し』。三拍子そろって人気の江ノ電。鎌倉駅から乗り込んだ。」
冬休み最後の1月8日、娘と一緒に江ノ電途中下車の旅に出ました。鎌倉-藤沢間を結ぶ江ノ電。私たちは藤沢駅から乗りました。藤沢駅で一日乗車券と湘南名物「鯵乃押寿司」を買って電車に乗り込みました。
藤沢→石上→柳小路→鵠沼→湘南海岸公園→江ノ島→腰越→鎌倉高校前
ここまでは車窓からの景色を楽しみました。江ノ島には今度ゆっくり行くことにしました。
鎌倉高校前で途中下車しました。この駅の目の前には太平洋が広がっています。思わず景色にくぎ付けです。景色に一段落すると、駅のベンチで藤沢駅で買った「鯵乃押寿司」を娘と一緒にぺろりと平らげてしまいました。味覚を十分味わいました。その後無人駅の改札を通り、駅前の七里ガ浜に水遊びに行きました。娘はズボンをたくし上げて波とたわむれていました。水の冷たさと波の音、浜の臭いをしっかりと感じていました。駅に戻る途中、娘は江ノ島電鉄の写真を撮っていました。
鎌倉高校前→七里ガ浜→稲村ヶ崎→極楽寺→長谷
長谷駅で降りて高徳院の大仏を見に行きました。娘は大仏を見るのは初めてでした。大仏の中にも入り、手で触って感触を確かめていました。
長谷→由比ヶ浜→和田塚→鎌倉
このあたりは民家すれすれの所を電車が通ります。車窓からすぐ玄関が見られます。娘もそんな景色を見ようと運転士さんのすぐ後ろから景色をしっかり見ていました。
今回の江ノ島電鉄途中下車の旅も、しっかり五感を働かせた記事の現場を訪ねる試みでした。
映画「アース」を観に行く 08.1.14実施
朝日新聞08.1.10夕刊「『美しい地球、ほれ直して』」より
「壮大で美しい地球に生きる動物たちの姿を描いた映画『アース』が12日から、全国で公開される。自然ドキュメンタリーのテレビ番組『プラネットアース』を制作したBBCのスタッフが映像を再編集、貴重な記録が一つにまとめられた。」
この記事を見て14日成人の日娘と一緒に川崎のチネチッタに「アース」を観に行きました。娘もテレビでコマーシャルを見ていたこともあり、楽しみにしていました。ホッキョクグマ・アフリカゾウ・ザトウクジラ・ライオン・チーター・ホオジロザメ・アムールヒョウ・カタカケフウチョウ・トナカイ・ホッキョクオオカミ・オシドリ・アネハヅルなどの生態を見ることにより、地球の環境へ少しだけ目を向けることができました。
東京での雪体験 08.2.3実施
朝日新聞08.2.4朝刊「凍結注意 大雪、都会の『足』乱れる 鉄道・マラソン・ラグビー・競馬…」へ
「低気圧の影響で3日、太平洋の広い地域で雪が降り、関東地方では東京都心で最大3㌢、横浜市で7㌢と平野部でも積雪が観測された。」 「雪だるまをつくる子どもたち=3日、東京都墨田区で」というキャプションが付いた写真が掲載されていました。
今回は記事が掲載される前に体験し、どのような記事であったかを見てみました。東京では珍しい大雪の日に多摩川の河川敷でプラスチックのそりに乗り土手を滑ったり、雪だるまを作ったりしました。驚いたことは、東京ではめったにないこんな大雪の日に遊んでいる子どもの姿がほとんど見られなかったことです。次の日の新聞に「雪だるまをつくる子どもたち」というキャプションがついていた写真が掲載されたのもなんとなく分かる気がしました。
雪国での雪体験 08.2.23~24実施
東京での雪体験から雪国での体験に発展させてみました。2月23日(土)に豪雪地帯の新潟県津南を娘と一緒に訪ねました。長野新幹線で長野まで行き、そこから飯山線で2時間。そこは東京での雪とは比べものにならない別世界でした。
長野駅10:02発の飯山線に乗りました。この時は雪も降っていませんでした。雪景色もほとんどありませんでしたが、徐々に雪も降り出し電車から雪景色を体験できました。
11:57津南駅に着きました。ものすごい雪が降っていました。
津南駅の近くで娘は雪遊びに夢中でした。
道路の雪を溶かす消雪パイプを娘は初めて見て興味をもっていました。
雪のすごさと寒さのために長い間外にいることができませんでした。駅の近くの食堂に入り、600円のチャーシューメンを2つたのみ暖まりました。その後、荷物を食堂で預かっていただき、もう一度外で雪遊びをしました。
14:00津南発の飯山線に乗り、長野駅には16:10に着きました。
長野駅に着いたときは雪がかなり降っていて、午前中とは全く違う雪の風景でした。この日は軽井沢で一泊しました。往きの長野新幹線からの軽井沢は雪がほとんどありませんでしたが、帰りには雪が降っていていくらか積もっていました。宿泊した日の夜にかなり雪が積もり軽井沢でも雪の体験ができました。
家族での宿泊旅行はよく行きますが、娘と二人だけの宿泊での旅行は初めてでした。雪国での娘の体験を通して親子でのコミュニケーションがゆっくりとれました。
4.国際理解へのパスポート
子どもから国際理解へのヒント
小学生の子どもたちが実際に次のように研究しました。国際理解を学ぶヒントにしてください。
1.
私が世界遺産を調べようと思ったきっかけは、朝日新聞にバーミヤン破かいの記事が載っていたからです。
世界各地の世界遺産をホームページで調べることや日本の世界遺産のいくつかを実際に訪ねることができました. 世界遺産を調べたことで昔人たちの生活や歴史、地球の生き物たちのことが少し分かりました。
地球にはたくさんの国があるけれど、世界中の人たちが仲よくして、地球の環境を守ることが大切だと思います。
2.
私の研究テーマは「世界の学校」です。なぜ、そのことを調べようと思ったかというと、朝日新聞から見つけた「NIE(教育に新聞)―ノルウェーの先進事情―」の記事を使ってノルウェーの学校教育を見てみたところ、とてもおもしろかったので他の国の学校教育も調べることにしました。
その研究をすることにより日本の教育と外国のちがいを調べてみたいと思いました。
研究の主な内容は、いろいろな国の教育や特ちょう、世界の子どもたちが学校に行けない理由などです。
研究の方法としては、本、新聞、インターネット、インタビュー、新聞にのせてあったものを取り寄せるなどしました。
3.
大森貝塚を発見したモース博士という人を知っていますか? モース博士は貝塚を発見しただけでなく、日本文化をアメリカに紹介するなど、日本ととても深いつながりを持っています。
1877年(明治10年)38さいの時、腕足類の研究をし、採集のため来日しました。
横浜から新橋へ向かう汽車の中から大森貝塚を発見し、日本で最初の科学的発掘調査が行われました。JR京浜東北線大森駅のホームにある碑にも「日本考古学発祥の地」ときざまれています。
モース博士は日本が大好きで、日本各地を旅行しました。そして日本人の生活を記録し、『日本その日その日』という本を書きました。さらに、日本人の使っていた生活道具をたくさん集めました。それは、モース博士が館長をしていた博物館に展示されていて、昔の日本人の暮らしを知る大切な資料になっています。
4.
私は読書をしていると、とても幸せな気持ちになります。今までたくさんの本と出合いましたが、その中でも、ドイツで生まれたミヒャエル・エンデの書いた「モモ」は心に残った本の一冊でした。「モモ」を読んでから、エンデの作品を探してくり返して読むようになりました。
ある日、新聞でエンデの記事を見つけました(「資料は語るエンデの内面」『朝日新聞』2001.5.5)。この記事でエンデのおく様が日本人だということ、世界でゆい一のエンデの資料館が、私の父の出身でもある長野にあることを知りました。
私は何か不思議なつながりを感じて、エンデについてもっともっと知りたくなりました。作品や生き方を調べて、作者の素顔にせまりたいと思います。
5.
2001年にはヨーロッパ全土を震え上がらせた「BSE(牛海綿状脳症)」が日本で発生し、大問題になっています。本来草食動物であるはずの牛に、便利な肉骨粉を与えるようになりその結果「BSE」問題が起こりました。小学生の私は1カ月ぐらい「BSE」を追ってみました。テレビのニュースや新聞に目を通し、特集記事を読み、日本食肉消費総合センター主催の食肉フォーラムにも参加しました。
原因や現状は何となく分かりました。でも、何が安全か、安全と言われてもなぜか100%信用できません。情報公開がおくれるなど政府の対応のまずさばかり目につきます。どうか1日も早く安心して利用できるしシステムを確立し、正確で早い情報提供をしてほしいと思います。
6.
今、世界のいろいろなところで戦争がおきています。私たちが住んでいる世界で、なぜ戦争をしているのか調べるために「平和で貧困のない世界をめざして」というテーマを設定しました。
日本ユニセフ協会に行き取材や資料集めをしました。また、緒方貞子さんの講演会にも行きました。
2001年の9月に起こった米国同時多発テロとその後のアフガニスタンへの軍事攻げき、難民問題の新聞記事が毎日のようにのり、その切り抜きと読むことで苦労しましたが、現実の問題として考えることができるようになりました。
7.
私の研究テーマは「地雷のない世界へ~今私たちにできること~」です。戦争が終わっても今も残っていて、被害が続いている地雷について調べています。地雷は「なぜいけないのか」「なぜ世界中でぼくめつをうったえるのか」を知り、少しでも苦しんでいる人々のことを考えられるようになればいいと思っています。
地雷展に行き、そこで教えていただいた別の地雷展へ行ったりし、資料をいただきました。新聞にも地雷についての記事が載っていたので読みました。また、アフガニスタンの地雷についても調べてみました。クラスの友だちに地雷についてのアンケートをとりました。地雷のイメージと対人地雷についてどのくらいの人が知っているかが分かりました。
8.
私は「私の町の交際交流」について調べています。学校のみんなに外国の人たちのことを身近に感じてほしいなあと思いながら研究を進めています。
市役所に行って交際交流会の役員さんにインタビューができることになりました。町の人へのアンケートでは、交際交流会のことを知らない人が多くてびっくりしました。お友達も自分の町で交際交流が行われているかかどうかも知らない人がいること、交際交流に興味がないこともびっくりしました。私の住んでいる町は、今は外国の人に住みやすい町ではないらしいです。
だから、どうしたら住みやすい町になるかなども考えてみようと思います。
9.
私はナショナルトラストに関心をもっています。ビアトリクス・ポターとナショナルトラストの関係が気になった私は、インターネットでナショナルトラストやポターについてのホームページで調べました。また、ナショナルトラストに管理されているところに行くなどのフィールドワークもしました。
これらで得た資料にもとづいて、ナショナルトラストとは何なのか、ナショナルトラストの歴史、ポターの生涯などを調べています。
今は、ナショナルトラストの3人の創設者、ハードウィック・ローンズリー、オクタビア・ヒル、ロバート・ハンターについてのことなどが分かって楽しくなってきました。
10.
私は今、「オリンピックの歴史と交際交流」について調べています。私はスポーツが好きなので、オリンピックについて調べようと思いました。図書館でオリンピックの本を借りました。その本を読んで分かったことは、今までのオリンピックで起きたことや中止になった大会などです。さらに、東京の秩父宮記念スポーツ博物館に行って、歴史について調べました。
また、東京の駒沢陸上競技場のオリンピックフェスティバルに行って、オリンピック出場選手に会ったり、研究テーマに関する資料をいただいたりしました。他にもいろいろな体験ができました。
研究をまとめるときは、国立競技場のかたちにしたいと考えています。
11.
私は「コンビニの過去と現在」について調べています。コンビは外国とのつながりがとても強いものと思われます。いくつのコンビニの本社に行って、話をうかがうことができました。オーストラリア産のグミなど品物の輸入。ローソン氏という人がいて、その人のしぼるミルクがおいしく、ミルクと一緒にパンなどを食べたいというお客さんの意見でコンビニになった名前の由来。いつ建てられて海外にはどんなものが売られているのか。
コンビニで働いている人に、「夜はこわいか」などのインタビューもしました。『セブンイレブンの心理学』という本には、ものの並べ方やセブンイレブンで大切にしていることが書かれていました。
アメリカから輸入されたコンビニが、日本独特のやり方で大きくなった姿があります。日本と韓国のコンビニを比べてみるのもおもしろいでしょう。
12.
私が取り組んでいることは「野球はなぜ人気があるのか」です。アメリカから入ってきた野球が日本では最も人気があるスポーツではないかと考えています。プロ野球、社会人野球、高校野球、少年野球など幅広く行われています。
日本のプロ野球やアマチュア野球とアメリカのメジャーリーグを比べること、球場のことなどについて調べています。東京ドームに行って自分の目で確かめてみました。
メジャーリーグについては、イチロー選手の活躍を中心に、新聞やテレビの映像から観察しました。『海を渡った男たち』という本も参考にしています。
イチロー選手、新庄選手、田口選手、佐々木投手、野茂投手、長谷川投手、石井投手、松井選手などの日本人選手がメジャーリーグでどのような活躍をするのか楽しみです。そして、メジャーリーグのもつ魅力を子どもなりに考えていきます。
13.
私たちのグループでは「メディアリテラシー」について研究しています。
愛子様誕生をメディアがどのように報道したか、特に外国ではどのように紹介されたか、いくつかの外国の新聞をもとに比かくしてみました。その発展として、外国で女王のような地位が認められている国を探して世界地図に書き込んでみました。イギリス、ノルウェー、ベルギー、オランダなどがそうでした。
また、日本新聞博物館、NHK放送博物館などに行き、新聞の歴史、放送の仕方など学びました。
メディアリテラシーを研究している方に、メールを送り、おもしろく勉強する方法やよい図書館などを教えていただきました。これからは、新聞を比かくすること、新聞をしっかり読むことなど心がけていくつもりです。
14.
私たちのグループでは「世界貿易センタービル」について研究しています。
2001年9月、ニューヨークにある世界貿易センタービルがテロにあい、その悲惨な状況に世界中の人々がおどろき、不安な日々を過ごすことになりました。その後、アフガニスタンなどの状況が大きく変化し、今後も世界中の人々が注目していることでしょう。
「世界貿易センタービル」は世界各国にあるのです。インターネットで検索し、私たちが調べることができた範囲で、不正確かもしれませんが、101カ国、338都市にまで広がっています。東京の「世界貿易センタービル」に行き、会社の人にインタビューし、ビルの写真を撮り、ビデオを見せていただきました。
貿易に関しては、インスタントラーメンの原料などはどこからきているか、貿易の仕組みや「ユニクロ」などについて、インターネットで調べています。
15.
私たちのグループでは「世界のテーマパーク」について研究しています。
日本にある世界のテーマパークの現状や経営的にどうなのか、外国にあるテーマパークとのちがいを研究内容にしています。
ディズニーランド、ディズニーシー、ユニバーサルスタジオジャパン、新潟ロシア村、グリュック王国、田沢湖スイス村、志摩スペイン村など日本にある世界のテーマパークについて、実際にインタビューしたり、FAXで回答していただいたりして調べています。千葉県浦安市にありオリエントランド本社を直接訪ね、取材をさせていただきました。また、外国のテーマパークについては、ホームページで検索して調べています。
日本のテーマパークについては、新聞にも記事がのっていたので、その記事からホームページでさらに調べるというようなことをしました。
日本は経済的にあまりよくないので、その国に少しでも関心を持てることができるテーマパークが消えていくことがないよう望んでいます。
16.
私たちのグループでは「世界の宗教」について研究しています。
人々の考えや生き方に宗教は大きなかかわりがあるからです。
世界の宗教はどのような分布があるか、キリスト教(カトリック、プロテスタント、ギリシャ正教別に)、イスラム教、ヒンズー教、仏教ごとに白地図に色で分けてみました。そして、それぞれの宗教の特ちょうを調べました。東京にある、教会、モスク、お寺を訪ねてお話を聞くこともできました。
また、世界のクリスマスについて、日本と各国のクリスマスのちがい、フィンランドのクリスマスの祝い方など調べました。
17.
私は「1週間の食事調べ」をしてみます。
私たちが食べている食事の原料とその輸入国を明らかにし、日本の食糧事情と外国にどのくらいたよっているかを考えます。
1週間、自分が食べた食事の原料と原料輸入国を事典、年鑑、ホームページなどで調べます。
食事がどんな国からの輸入にたよっているかを明らかにし、原料を輸入にたよらない食事の献立を1週間分つくってみます。
18.
私は「くじら食べていいの? だめなの?」を調べてみます。
日本の40~50代の年れいの人にとって、くじらは昔の給食でなつかしいものです。
現在の捕鯨禁止運動と日本の置かれている立場を明らかにして、今後日本ではどうなるのか、考えてみます。
現在でも日本ではくじらを食べることはできます。東京の渋谷にはくじら料理のお店があります。
日本人の生活におけるくじらの役割、世界の捕鯨禁止運動の現状、その運動の日本への影響、くじらを食べる国と食べない国の立場のちがい、環境保護などの面から、考えてみます。
19.
私は「メイドインアジア」を調べています。
あなたの身近にある製品の中に、日本以外のアジアの国々で生産されたものにはどんなものがあるのでしょうか。家庭、学校、商店街、スーパー、デパートなどで見ることができたら製品とその生産国をメモしています。
同じ物の日本製品と日本以外のアジア製品の値段と品質などを比べて、消費者としてどちらを選ぶか考えてみます。また、ユニクロの人気の背景を探るなど、経済の問題を外国との関連で考えています。
20.
私は「世界の自然災害」を調べています。
2002年3月下旬、アフガニスタン、バグラン州では地震で1000人以上の死者を出しました。復興を目指すアフガニスタンにとって大きな痛手となりました。世界各地では自然災害により、多くの大切な命が失われています。中には、人間の手によって防ぐことができた自然災害もあります。
新聞から世界各地の自然災害を読み取り、さらにインターネットなどでその原因や対策など詳しく調べ、人間と自然とのかかわりを考えています。
21.
私は、中東のパレスチナ紛争は、今どうなっているのか、そして、なぜパレスチナ紛争が起こるのかその原因を考えています。
イスラエル人とパレスチナ人の武力しょうとつがはげしさを増しています。連日テレビや新聞でその状況の一部が報じられています。多くの死者を出しているパレスチナ紛争の状況を新聞で追いかけてみましょう。「朝日新聞」2002年4月20日の夕刊によれば、国連安全保障理事会は、4月19日、イスラエル軍の侵攻で大勢の住民が死んだとされるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ジェニンに、現地調査団を派遣する決議を全会一致で採択したと報じられています。
「朝日新聞」2002年4月18日夕刊、「みんなのニュースランド」で、「パレスチナ紛争はなぜ?」がとりあげられています。原因についても考えてみます。
22.
私は、「地球の環境は、今」を研究しています。
地球規模での環境問題が指摘されてから、かなり時間が過ぎました。地球の温暖化、砂漠化、熱帯林の減少、オゾン層のはかい、酸性雨、海のよごれ、野生動物のぜつめつなどの問題は、今どうなっているのでしょうか。
インターネットを活用し、実状を探ってみます。
23.
私は、「テレビ欄の外来語を日本語にチェンジ」してみました。
新聞のテレビ欄は子どもが最も見るところです。小さい新聞の字に慣れるために、字を読む練習にしていました。よく読んでみると、外来語(外国から伝わって日本語と同じように使われている言葉)がずいぶん多いことに気がつきました。
そこで、外来語が使われている番組名だけ色を付けましたが、いろいろな外来語が使われていました。図書館で国語辞典や外来語辞典を使って、その外来語の意味とどこの国の言葉なのかを調べました。そして、その外来語を日本語に代えてみました。ずいぶん感じが違うものだと思いました。
24.
私は「世界に広がる日本の食品」を研究しています。その中でも、2つのことに注目しています。
一つはカップめんです。NHKの「プロジェクトX」でも、カップめんの誕生について紹介していました。「世界の人々が食べているカップめん」「外国でもつくられているカップめん」「世界をつなぐ製造技術」「ちがっている各国の食べ方」など調べています。もちろん、インスタント食品だけでは食生活にかたよりができ、うるおいもなくなります。各国のめんの手料理についても調べていきたいです。
もう一つは、回転ずしです。日本でも人気の回転ずしが、外国でも人気があると新聞や本で読みました。韓国にもあるそうです。外国でどのように受け入れられているのか、調べています。
25.
私は「世界の入学の時期」を調べています。国によってずいぶんちがうことが分かりました。
1月 オーストラリア、マレーシアなど。2月 ニュージーランド、ブラジルなど。3月 韓国、アルゼンチンなど。4月 日本、パナマなど。10月 スペイン、サウジアラビアなど。一番多いのは9月です。アメリカ、イギリス、フランス、中国、イタリアなどがそうです。
その国の気候や社会の仕組みによってちがうのでしょう。
26.
私は「パンダとコアラのふるさと」を調べています。
パンダのふるさと中国とコアラのふるさとオーストラリアはどのような国なのか、日本と中国の関係、日本とオーストラリアの関係、中国とオーストラリアの関係を探っています。
2000年にシドニーオリンピックを開催したオーストラリア、2008年に北京オリンピックを開催する中国、2つの国の新しい姿をいろいろなメディアを活用して調べていきます。
27.
私は「歴史に登場する外国人」に関心をもっています。
私が使っている小学校の歴史教科書には、鑑真、ザビエル、ペリー、コッホ、などの外国人の名前がのっていました。どのような人なのかはおよそ分かりましたが、日本の歴史にどのような影響を与えたのか、もっと詳しく調べることにしました。
また、日本の歴史の本から、影響を与えた外国人を探して、その人の業績を調べています。
28.
私は「日本のお札にのっていた人物と外国との関係」について調べています。
福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石の3人と外国とのかかわりを歴史的に調べています。歴史の本、伝記、人物事典などで、福沢諭吉は欧米の視察、新渡戸稲造は国際連盟、夏目漱石はイギリス留学を中心に考えています。その他、3人の業績も明らかにし、クイズでまとめようと思っています。(その後、五千円札は樋口一葉、千円札は野口英世になり、2024年からは、千円札は北里柴三郎、五千円札は津田梅子、一万円札は渋沢栄一になります。)
29.
私は「アジアの伝統工芸マップ」をつくっています。
日本にはいろいろな伝統工芸がありますが、アジアの国々にも多くの伝統工芸があります。本やインターネットなどでアジア各地の伝統工芸を調べ、それをイラストに描いています。模造紙にアジアの地図を描き、それぞれの伝統工芸のイラストを貼っています。つくりかたを調べていくと、独自なものと共通なものがあることに気がつきました。
30.
私は「世界の子どもの状況」を研究しています。
世界各地で子どもたちはどのような状況におかれているのでしょうか。子どもに関するニュースを探して、その子どもの声を考え、世界の白地図に書き込んでいます。
その声の中から、特に追究したいものは、関連したホームページや日本にある関連事務所などを訪れ、担当者から話を聞くことにしています。
31.
私のテーマは「日韓交流を広げよう」です。
日本と韓国の歴史を見つめ、韓国とのかかわりを持ち、日本と韓国の将来に少しでも役立てばうれしいです。今さかんに行われている日韓交流で、韓国人の日本人へのイメージは変ったのか、また、日本人の韓国人へのイメージは変ったのかを考えたいと思います。
「最近話題の日韓交流」「2002FIFAワールドカップ」「芸能での交流」などの内容を通して考えていきます。