NIE-Math
新聞には算数がいっぱい!
5年 帯グラフと円グラフ
右の図は、PISA2000、2003で出題された問題です。日本の正答率は29%(2003)で、ほぼOECDの平均です。全体的に上位にいる日本としては、弱点とも言える部分です。
ちなみにフィンランドは約46%です。
こうした、グラフから読み取り、判断することが数学リテラシーの一つで、社会に出てから必要とされる重要な学力とされています。
最近の中高の受験でも多く出題されるようにもなっています。
ただ、グラフについては算数・数学以外の学習でも触れる機会はたくさんあります。例えば、理科や社会科の教科書には、グラフはたくさん出ています。それが、算数・数学の学習と別々に捉えられて、うまくつながっていなかったようです。
ここでは、新聞に出てくるグラフを読み取ったり、数値をグラフにしたりして、グラフに慣れ、数学リテラシーを高めましょう。
ポイントは「読解」と「表現」
教科書では、リクエスト給食を決めるために好きな給食のメニューを学校全体で調べ、比べ、判断するためにグラフを活用していこうという形で学習が導入されています。身近なところから現実と算数を結びつけていく意図があるようです。
グラフは、基本的には数や量を目に見えるように「表す」ための道具です。学習指導要領解説でも「グラフに表す」「グラフを読み取る」という表現が随所に出ています。
・棒グラフは、量や個数などの大小を表します
・折れ線グラフは、変化を表します
・円グラフ、帯グラフは、割合を表します。
では、円グラフと帯グラフの違いは何でしょうか?帯グラフは、複数並べることで、割合の変化を表すことができます。
こうしたグラフの特徴を生かして、グラフを読み取ったり、表したりしましょう。
まず、どんなグラフがあり、何を説明するためにグラフが使われているのかを考えてみましょう。
新聞を見ると、グラフがたくさんあります。
例えば2021年1月29日の読売新聞の朝刊の「都民版」には2つのグラフがあります。
1つが、コロナに関連しての「都の外国人向け相談窓口の相談件数」で折れ線グラフです。
2つめが、「板橋区の子どもに関する電話相談件数」で棒グラフです。
両方とも、「相談件数」ですが、片方が折れ線グラフで、もう片方が棒グラフです。なぜ、この2つは違ったのでしょうか。それを考えるのもよい学習になるでしょう。
グラフの読み取りに自信がついたら、自分でグラフを作ってみましょう。新聞に出ている数値をエクセルなどのソフトに入力すれば、簡単にグラフをつくってくれます。それを、いろいろなグラフにしてみて、どのグラフがふさわしいのか、また、何がわかるのかなど考えてみましょう。
例えば、野球で二人のバッターの記録があったとします。そのヒットをシングル、二塁打、三塁打、ホームランの割合で比べてみましょう。どちらが長距離バッターと言えるでしょうか。
このように、ただ出ている数値を整理して見せ方を変えるだけで、見えてくることがあります。それがグラフの素晴らしさでもあります。
学習の実際
・新聞の中からグラフを見つけて、関連する記事の「何を」説明するためのグラフかを考える
・新聞の記事にあるグラフ化されていない数字を見つけて、グラフに表してみる
・棒グラフや折れ線グラフ、円グラフなど、どのグラフを使うとわかりやすいかを考える
・グラフ化することで、気づいたことをまとめる
学習のポイント
・学校ならば子どもたち同士で、家庭ならば大人に気づいたことを説明してましょう