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  • Q 私立小学校を選ぶことに不安があります。私立小学校で大学の系列校の場合は、小学校段階で大学までが決まってしまいます。本当にそれでよいのか、不安になります。国立の超難関校に受かる力があるかもしれませんし、音楽やスポーツなどの才能がもしかしたらあるかもしれません。あまり早い段階で将来が決められるよりも、公立などで幅広い選択肢のあるほうがよいかとも考えてしまいます。
    A それぞれの学校の特色を理解して検討しましょう ◎子どもの可能性を広げる  学校での教育でめざすことは「進学」だけではありません。  まず一番に考えることは、「子どもの可能性」だと考えます。子どもには無限の可能性があります。「いや、そんなことはない。才能のあるなしはあるだろう」という意見ももっともですが、それでは目の前の子どもに「この子には才能はない、可能性はない」と言えるでしょうか。それは言えないでしょう。ですから「無限の可能性」はあると考える方がよいのです。  その可能性を伸ばしてやることが、保護者の第一の仕事です。それをもとに考えてみましょう。 ◎多様な経験を用意すること  子どもの可能性を伸ばすために保護者ができることは、環境を用意することです。実はそれしかないと言っても過言ではありません。やれと言ってもやるかやらないかは子ども次第です。無理にやらせては伸びる可能性も伸びません。  環境を用意するといっても様々あります。本をそろえるなど具体的な物を用意することでしょうか。それ以上に大切なことがあります。  第一は、たくさんの体験、経験をできる環境を用意してあげることです。  小学校段階まででは、子どもは体験や経験からも多くを学び、成長します。「はじめてのおつかい」というテレビ番組を見ていてもそう感じることがあるのではないでしょうか。  私立小学校では、そうした子どもたちを成長させる体験や経験を盛り込んだプログラムがたくさん用意されています。それぞれの学校の教育理念によって、学校ごとに特色あるプログラムが用意されています。それが私立小学校の一番のメリットと言っても過言ではありません。  例えば、聖心女子学院初等科では、清里の清泉寮での環境学習やさまざまな奉仕活動プログラムや海外姉妹校との交流などがあります。 ◎「やりたい」を育てる-多様な経験から生まれる主体性  私の個人的な友人のお嬢さんですが、某大学系列の小学校から高校まで進学しましたが、大学は海外の音楽大学へ進学し、今は演奏家として活躍しています。元々の楽器は幼少の頃から習ってはいましたが、海外の大学への進学は不安もあります。その決断には、小中高での海外との交流などの体験が生きています。体験や経験が世界を広げ、自ら判断し行動できる力を育みます。  単にテストで100点をとるだけの勉強ならばどこの学校でもできます。子どもにどのような体験、経験をさせることができるのか、その視点で、小学校を見てみることをおすすめします。今は、公立小学校でも特色ある教育が用意されるようにもなっています。まず地元の小学校の教育と比べてみるのはいかがでしょうか。 ◎伝統が育てる力  今は、ホームページ等に各界で活躍している私立小学校の卒業生が紹介されています。それをみると様々な分野で活躍している先輩達がいることがわかります。実は、その先輩達から学ぶことも多くあります。その先輩から直接教わることはなくても、その先輩を手本として、先輩のようになりたいという気持ちをもつこと、いわゆるロールモデルをもてるということです。  例えば緒方貞子さんは聖心女子学院初等科の卒業生です。後輩達は、緒方さんのように人のために役立ちたいとか、世界で活躍したいという意識をもつ子どももいます。そのほかにも聖心女子学院初等科の卒業生には、アナウンサーやタレント、ジャーナリスト、オリンピックに出たスポーツ選手など多彩な先輩達がいます。後輩達は、その姿をみて、夢を実現することを願い、頑張っています。   ◎受験にとらわれない多様な進路選択を  進学先が決まっていることで、受験対策とは異なった学習に取り組むこともできます。だからといって、決して学力をおろそかにするということはありません。大学の系列校でも大きく二つに分かれます。  一つはそのまま大学に進む割合が高い小学校。次のような学校があります。慶應義塾幼稚舎、慶應義塾横浜初等部、早稲田実業学校初等部、立教小学校、青山学院初等部、同志社小学校、立命館小学校、関西大学初等部、関西学院初等部などがそうです。  もちろん、これらの学校から別の大学に進学する子どももいます。例えば著名な数学者である芳澤光雄氏は、慶應義塾幼稚舎から高校まで進学しますが、当時の慶應義塾大学には数学科はなかったため学習院大学に進学しました。ソニーの社長を務めた出井伸之氏は、成城学園初等学校でしたが早稲田大学に進学しています。  もう一つは系列の大学には進学せず、他大学に進学する割合が高い小学校。系列の高校から系列の大学への進学率がおよそ50%をきる学校はこれに当たると考えられます。  白百合学園小学校、東洋英和女学院小学部、聖心女子学院初等科、成蹊小学校、学習院初等科、東京都市大学付属小学校、帝京大学小学校、淑徳小学校などがこれにあたると考えられます。  これらの学校では系列の中学・高校がどのようなレベルの教育をしているのか、大学受験にむけてどのような対策を具体的にとっているのかが課題になります。これらの学校の有名私立大学への進学実績が指標になります。難関私立大学合格力という数値があります。難関私立14大学の合格力で、数値が高いほど難関私立大学への合格力が高いことになります。合格力50以上を挙げてみましょう。  東京都市大学付属中学校・高等学校   164.0  帝京大学中学校・高等学校       127.5  白百合学園中学高等学校        101.9  東京都市大学等々力中学校・高等学校   92.3  東洋英和女学院中学部・高等部      79.4  学習院中・高等科            54.7  淑徳中学高等学校            53.4  このように、大学の系列校に入学されても、その後の進路は多様化しています。私立小学校は子どもの個性を尊重している学校が多くあります。それぞれの学校の特長を十分見極めて下さい。  このように私立小学校受験のメリットや学校の特色は様々です。同様に公立小学校でも特色を出しているところもあります。私立小学校への受験に疑問がある場合や国立の超難関校に受かる力を身に付けたい場合は、それぞれの特色をよく検討してみることが大切なのではないでしょうか。
  • Q 学校のホームページを見るポイントは ネット上でも、沢山の学校の情報が溢れています。その中でも一番信頼できるのが学校のホームページだと思います。その学校を理解するのに、どこを見るとよいでしょうか。
    A ネットに頼るだけでなく、説明会なども積極的に活用しましょう  それぞれの学校のホームページは学校の実情を伝えるという役割を果たすこともありますが、多くは学校のアピールの側面がとても強いです。ですからレイアウトなど専門の業者が請け負うことも多いのではないでしょうか。子どもの瞬間的な笑顔など素敵な写真もよく使われています。  それぞれの学校のホームページを丁寧に見ていくことが必要でしょう。学校の理念、特長、カリキュラム、授業時数、学校行事、小学校卒業後の進路状況などいくつかの学校のホームページを比較してみるといいでしょう。系列の中高の教育実態や大学への進路状況などもホームページで確認しておきましょう。  新型コロナウイルス禍で、学校説明会など従来のように完全な形での実施ができてこなかった所が多いと思います。今後は徐々に以前のように実施する学校が増えると考えられます。  ですから、ホームページで基本的なことを押さえたら、学校見学、授業公開、受験相談会など実際に希望する学校に実際に行くことを勧めます。都道府県ごとや宗教系の学校グループ、鉄道の沿線ごとの説明会もありますので、情報を収集する習慣を身に付けることも合格の一歩になるでしょう。質問があればそれぞれの担当者に率直に聞いてみましょう。  正確ではない情報も見受けられますが、ネットで「私立小学校の掲示板」があります。投稿に卒業生か在学している子どもの保護者か本当なのか分からないケースもありますが、学校の評判でこのことは本当だなと思うこともありますので、冷静に見ていくという前提で読んでみてもいいのではないでしょうか。  受験情報を専門的に発信しているホームページもあります。情報収集に役立ちます。  ネットに頼るだけでなく、今後は対面での学校選択につなげていって欲しいものです。
  • Q 親が学校を選んでもよいのでしょうか。 幼児ですから、子どもで学校を探すことも選ぶこともできませんが、本当にそれでよいのか不安です。子どもとも話そうと思いますが、何をどのように話せばよいでしょうか。
    A 子どもと一緒に考えることが大切です  低学年を担任していた時、子どもたちに「この学校はあなたが選んだの?」と聞いたことがありました。正確な数値ではありませんが、思っていたより本人の希望というケースがありました。  私立小学校を選ぶ時にはいろいろな要素が関わってきます。親が卒業生、お兄さんお姉さんが在籍している、親戚の人が卒業している、お世話になった先生がまだ勤務しているなど。もちろん、全く関りがない人もたくさん受験されています。  これは一種の感のようなものですが、少しでも「この学校がいいな」と思って入学してきた子どもはその後の学校生活も順調のような気がします。ですから、親が一方的に決めるのではなく、実際にその学校に行き、「この学校のどんな所が好き?」というような問いかけで、子どもとの会話を通して決めていけばいいのではないでしょうか。  実際の受験に際しては、希望する学校を複数受けることが一般的だと考えます。ですから第一希望の学校だけではなく受験が可能な学校で本人が「この学校がいいな」という学校も押さえておくことも大切です。そのことは面接がある学校では有効にはたらきます。今後は対面での説明会が多くなると予想できます。相談会などの機会があれば子どもも一緒に参加し担当の教師と話す機会をつくることも大切です。  難しいとは思いますが、幼児とのコミュニケーションの習慣を付けておくことは、その後の子どもの成長にとっても大切なことです。
  • Q 男子校、女子校、共学の学校がありますが、それぞれのメリットはどのようなものでしょうか。
    A それぞれのスクールカラーがありますので、子どもにふさわしいかどうかで検討しましょう  日本の私立小学校数はおよそ236校と捉えることができます。その内、男子校は3校、女子校は23校、共学が210校と思われます(最新のデータではない場合もありますので)。  男子校は珍しく、暁星小学校(東京)、立教小学校(東京)、精道三川台小学校(長崎)の3校しかありません。共通しているのはキリスト教の精神に基づいた学校ということです。暁星小学校はカトリックのマリア会、立教小学校はプロテスタントの聖公会、精道三川台小学校はカトリックのオプス・デイが設立母体です。ただし、精道三川台小学校のオプス・デイは修道会ではないので(属人区とされる)、いわゆるミッションスクールにはならないようです。それぞれの宗教の根本的な理念が男子校としての在り方を規定しているようです。男子としての行動規範を常に求めているのでしょう。勉強をしっかり遂行している様子が見られます。  女子校は23校あります。多くは宗教系の学校です。キリスト教カトリックを母体にする学校が16校、キリスト教プロテスタントを母体にする学校が2校、仏教を母体にする学校が1校、宗教系ではない学校が4校になります。宗教系の学校はそれぞれの宗派に基づいた教育が実践されています。男子がいない分、すべて女子が責任をもって行動します。学校行事での力仕事でも積極的に取り組むなど自主的な姿勢が身に付いているようです。カトリック校ではシスターの存在がとても大きいです。直接にお会いしての教育は絶対的なものがあります。しかし、この十数年シスターが不在なことが多く、カトリック学校としての模索が続いていると思われます。  210校ある共学の学校でも宗教系の学校が75校あります。キリスト教カトリック、キリスト教プロテスタント、仏教、新宗教を母体にしています。ですから、宗教系の学校ではそれぞれの宗派に基づいた教育が行われています。国立や公立の小学校はすべて共学ですので、男子校、女子校という一般社会の小学校との違和感のようなものは感じないかもしれません(もちろん、教育方針は全く違いますが)。受験を希望する保護者で私立小学校の出身ではない方にとって共学校は親しみやすい環境かもしれません。  小学校を200回以上訪問した経験から、共学の学校は活気があるように感じました。男女での討論などかなり活発に行われています。世間とのずれもなく楽しんで学校生活を送っている様子が見られます。
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