主権者教育を実践するにあたって

 

主権者教育は小学生から始めましょう               
 2016年7月に行われた参議院議員選挙から18歳選挙権が実施されることに伴い、メディアでは盛んに高校での主権者教育の実践を紹介したりその問題点を挙げたりしていました。しかし、私には高校生から主権者教育を始めればいいのだろうかという率直な疑問がありました。高校に進学しないという選択もあります。義務教育段階までに「社会参加に必要な知識・技能、価値観を習得させる」主権者教育は不可欠とし、小学生から行うことが主権者を育てることに大きな役割を果たすのではないかと考えました。
 小学校6年社会科の「政治」単元には「地方自治」「国会」「内閣」「司法」「日本国憲法」を学ぶ内容が配列されています。2019年度までは「日本の歴史」単元の後に位置付けられ、6年生の忙しい学年末に実践される単元でした。2020年度からは6年社会科で最初に学ぶ単元になりました。今後はこの政治単元を充実させることが本格的な主権者教育のスタートとして位置づけることができます。もちろん、さらに小さな学年や幼児から社会に関心をもつ習慣を身に付けることがその前提にはなりますが。
 私は小学校の教師を39年間勤めました。26年間は学級担任として社会科、生活科、総合的な学習を研究の対象としてきました。13年間は5・6年生の社会科担当教師として社会科の研究を中心に行ってきました。その中で1981年に教師になってから一貫して新聞を学習材にして世の中の事について学ぶことを児童と一緒に取り組んできました。いわゆるNIE(Newspaper in Education)です。NIEは決して高校から始める活動ではありません。小学校の低学年から学ぶ実践も豊富にあります。主権者教育はただ選挙のことを学ぶ、選挙の時に模擬選挙などの活動を行うことではありません。普段から政治や社会の出来事をキャッチし関心を持ち続けることが不可欠です。
 2014年12月衆議院議員選挙が実施されました。当時6年生の「政治」単元の国会の学習について衆院選を通して学ぶことにしました。その学習の様子の一部を『毎日新聞』から引用します(2015年6月16日朝刊、デジタル版から)。

 

 

●昨年の衆院選を実例に
 岸尾教諭は昨年度、小学6年の社会科の単元「わたしたちの生活と政治」(16時間構成)で政治、国会、内閣、裁判所、日本国憲法などを学ぶ時期が衆院選(昨年12月14日投開票)と偶然重なったことから、民主主義に欠かせない選挙の仕組みを実際の衆院選を通して理解し、政治に関心を持つような授業を計画した。このうち5時間を充てた「国会」に関する学習(別表参照)の1時間目の「(国会の)仕事」では、児童は教科書や副教材の資料集だけではなく、新聞各紙の衆院選序盤戦の世論調査結果や特集記事を読んで学んだ。4時間目の「投票」では、選挙権年齢の引き下げに関する社説を読み、少子高齢化による若者の数の減少や低投票率で、若年世代の意思が政治に反映されにくいという背景を考え、選挙権年齢を20歳以上とする国が海外では少数派で、大半の国が「18歳以上」としている現状を知った。さらに5時間目の「選挙結果」では、自民、公明の両党で議席数の3分の2以上を維持した結果を大きな見出しで報じる在京6紙の紙面を読みながらリアルな選挙の雰囲気に触れた。児童は2人で1台使えるタブレット端末を使い、新聞記事検索のほか、「世論調査」「政党」「小選挙区」「比例代表制」「ドント方式」「ネット選挙」「選挙公報」「出口調査」などをキーワード検索して現実に進行する選挙を積極的に調べた。                  
■「国会」の学習内容(※=新聞も活用)・1時間目「国会の仕事はなんだろう」※→・2時間目「どうやって代表者を選ぶのだろう」→・3時間目「法律はどのようにできるのだろう」→・4時間目「投票はどのようにするのだろうか」※→・5時間目「選挙結果はどうなったのだろうか」※             
◇岸尾教諭「政治 身近に感じるように」
「主権者教育」は高校で始めるより、政治的中立性を堅持することを前提に、義務教育段階でも選挙など基礎的な政治学習は必要だと思います。 教師側が萎縮して避けるのではなく、自分たちの生活に政治が大きくかかわっていることを児童が知ることが基本です。選挙だけではなく、普段から新聞を読んで社会に興味を持ち、政治を身近に感じることが大事です。選挙期間中には街の様子を観察させ、候補者ポスターの掲示板が出たり、選挙カーが走ったりすることに気付かせます。投票会場への入場整理券を「有権者宅に届きますよ」と見せたり、「親と一緒に投票所へ行ってみよう」と呼びかけたりします。児童の入場を許可しない投票所もあるようですが、選挙の雰囲気を知る機会です。また新聞に折り込まれる選挙公報を見せたところ、児童が党によってスペースが違うことに気付き、インターネットで調べ、比例候補者の数によってサイズが異なることを理解しました。今回の選挙例は今後の授業でも応用できます。教える側も節目の選挙記事は保存し、政治学習のテキストとして活用することが望ましいですね。(談)

 

 国政選挙があるときに選挙の学習を取り入れた最初は、1986年の中曽根内閣での衆参ダブル選挙でした。その時の6年生の学習テーマは「衆参ダブル選挙を追え」でした。それ以来国政選挙の時には、新聞で情報を得る、街はどのように変わったのか、投票所に行ってみよう、選挙結果はどうであったかというような学習に取り組んできました。メディアから情報を得ること、自分で体験することの2つの視点がポイントになるのではと考えています。

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新聞の読み方

 紙の新聞はもう時代遅れのメディアなのでしょうか。家庭での購読率も以前に比べずいぶん低くなりました。現在のネット時代、ネットで多様な情報が手に入ります。もちろん新聞社からの情報も含めて。しかし、情報の選択と熟読はまだまだ紙の新聞の存在価値になっているのではないでしょうか。
NIE(Newspaper in Education)は国際的な教育運動です。1992年から米国、英国、スウェーデン、ノルウェー、オーストラリア、韓国などのNIEの実践を視察する機会がありました。新聞を活用し調べる活動につなげ、自分の考えを持ち、表現を工夫し他者に伝えるという学習過程の実践を多様に見てきました。教師が選んだ新聞の切り抜きではなく、新聞を丸ごと活用し熟読する学習方法です。もちろん、日本でよく見られる切り抜きを使った学習材もテーマによっては有効であります。
主権者教育の前提に新聞を読み世の中の出来事に関心をもつ方法について述べてみます。新聞の読み方を習得することは大切な学習スキルになるものと考えます。
児童・生徒向けに監修した『情報を整理する新聞術』(フレーベル館、2010年)から、読解し自分の意見をまとめるポイントを引用します。
【新聞読解ゼミ】

新聞記事を読み、記者が何を伝えたいのかを読み取りましょう。読み取った記事に対する自分なりの意見を考えてみましょう。
〈記事をじっくり読んで自分の意見をもつ〉社会に興味や関心が出てくると、記事の内容に対して、これはとてもいいことだ、これはおかしいなどと、自分なりの思いや考えをもつようになります。自分がどんな考えをもっているかもわかってくるでしょう。
〈「事実」の記事と「意見」の記事〉新聞記事を読むときには、この記事は事実だけなのか、それとも書き手の考えが入っているのかを、注意深く読み取る必要があります。なぜなら、考えが入っている場合には、実際のできごとを伝える記事であっても、「読者にはこう感じて欲しい」とうながすように文章が組み立てられているからです。
〈新聞によって考え方がちがうことを知っておく〉同じできごとをあつかった記事でも、新聞によって立場や考え方ちがうので、伝え方も異なるのです。新聞社の考えがとくに出るのは、社説や一面のコラムです。同じできごとを伝える記事を2つ以上の新聞で読みくらべてみるとちがいがわかるでしょう。
〈自分の意見をまとめてみよう〉新聞を読んでいて気になった記事は、切り取っておきましょう。切り取った記事は、新聞名とともに日づけをメモしておきます。自分の意見を書く前に、記事の内容を要約しましょう。要約や自分の意見は、記事をはった余白に書きます。記事はテーマごとにまとめてはると後から読みやすくなります。また、同じテーマであってもちがう角度から取材された記事や、ちがう新聞の記事を組み合わせるほうが、いろいろな立場や考えを知るうえで便利です。

【選挙公示・告示前の新聞の読み方】
 衆議院議員選挙はいつ解散があるか分かりません。2021年の第49回衆議院議員選挙のように任期満了で選挙があることはまれです。多くは任期途中で解散があり解散権は総理大臣だけがもっています。
参議院議員選挙は定数の半分が3年に1回ほぼ7月の選挙で選ばれるので、公示前から新聞にはいろいろな情報が掲載され注目しやすいです。
【選挙公示・告示時の新聞の読み方】
 公示された衆議院議員選挙、各党党首が街頭演説をするので党首の主張が新聞に掲載されます。それぞれどのような政策を主張するのか読み比べてみましょう。また、各地の暮らしと政治に関する記事にも注目します。
【選挙公示・告示後の新聞の読み方】
 公示後の選挙運動や序盤戦の世論調査の結果などが掲載されます。どのように世論調査が行われるのか新聞に説明があります。また、新聞に選挙公報がはさまれるので選挙区の候補者や政党の主張を読み比べることができます。
【投票直前時の新聞の読み方】
 投票直前の選挙運動や選挙の問題点なども掲載されます。選挙終盤の世論調査の結果も掲載されます。この世論調査の結果により選挙の当落を予測することができます。ただし、世論調査が投票行動に大きな影響を与えるので明確な予測は
控えています。
【選挙結果時の新聞の読み方】
 選挙結果はどうだったのか。新聞を読み比べてみると各社の判断が読み取れます。第47回衆議院議員選挙の結果を報道した2014年12月15日朝刊各紙の多くは「自公圧勝」と見出しをつけている中で、ある全国紙の見出しには「自民微減291議席」とありました。当時の安倍首相の顔写真も笑っていませんでした。横に掲載した社説には「『冷めた信任』を自覚せよ」とありました。
【選挙結果後の新聞の読み方】
 選挙後の各党、各地の話題が掲載されています。注目される当選者や大物で落選した人などが掲載されています。場合によっては政党代表の落選、代表辞任が大きな話題になることもあります。その後の内閣の組織や注目の大臣の話題などが掲載されます。

新聞の読み方については「Newspaper in Education」を参考にして下さい。

ニュースの見方

 テレビの視聴率も以前と比べ落ちているようです。今やネットの時代です。しかし、現在でもテレビから情報を得る割合は一番多いのではないでしょうか。NIEを進めてきた私もテレビは好きでその役割は大きいと考えています。テレビ局と新聞社は系列の関係があります。首都圏で視聴できる放送局についてですが、日本テレビ―読売新聞、テレビ朝日―朝日新聞、TBS―毎日新聞、テレビ東京―日本経済新聞、フジテレビ―産経新聞となっています。テレビ局と新聞社の主張を比べてみることも一つのメディア・リテラシーになります。それぞれの地域での新聞とテレビの系列について調べてみましょう。
 私はよく新聞のテレビ欄のニュース内容を読み比べることをしていました。どのニュースに取り上げられているものもあればそのニュースに独自なものがあります。これを読み比べると新聞にはない情報もあるので世の中のことが結構分かるものです。
 テレビの見方としては報道・情報番組を活用してみたいです。映像の持つ魅力があり世の中の仕組みが理解しやすいことは特徴です。それぞれの地域で平日、土日でどのような番組が放送されているか調べてみましょう。新聞のテレビ欄が参考になります。
 NHKは7時、12時、19時、21時に定時のニュースを放送するほか報道・情報番組が並んでいます。夕方の時間帯には首都圏ですが15:50~ニュースevery(日本テレビ4)、16:40~Jチャンネル(テレビ朝日5)、15:49~Nスタ(TBS6)、15:45~ニュースイット!(フジテレビ)などがあります(2021年9月現在)
 なんといってもテレビの報道は映像を通して分かりやすいことが大きな特徴でです。2015年11月13日パリ近郊で起こったISによると思われる同時テロの報道に接して絶句しました。この事件を数日、新聞とテレビでの報道を追いかけてみましたが、やはりテレビの力が大きかったと感じました。
 新聞の読み方と同様に、選挙に注目してニュースの見方を考えてみます。
【選挙公示・告示前のテレビの見方】
 参議院議員選挙は3年に1度ほぼ7月と決まっているようですが、衆議院議員選挙は解散があるからいつ行われるか分かりません。衆参一緒のW選挙の場合もあります。選挙公示前の政治状況にもニュースを通してしっかり注目する必要があります。
【選挙公示・告示時のテレビの見方】
 各党党首の街頭演説のようすやそれぞれの政党の政策についてニュースではどのように報道するか見ていきたいです。
【選挙公示・告示後のテレビの読み方】
 序盤戦の世論調査の結果をニュースではどのように報じているのか注目します。それぞれの政党や立候補者はどのような選挙運動をしているのか見てみましょう。
【投票直前時のテレビの見方】
 投票直前各政党や候補者はどのように選挙を進めているのか、最後の土曜日に各政党の党首はどのような演説をするのか注目します。
【開票速報時のテレビの見方】
 なんといっても選挙に関するテレビ局の報道は、ライブな開票速報に大きな魅力を感じます。といっても最近はそれぞれのメディアによる調査や事前の出口調査の効果により、20時の投票締め切り時刻にはおおよその議席が分かる傾向にあります。2021年8月22日(日)投開票の横浜市長選挙では、投票締め切りの午後8時にはNHKが当選確実の報道をしていました。全く開票がされていなくても当落の報道が出せるのです。衆議院議員選挙や参議院議員選挙でもおよその当選議席数が出されます。出口調査の力は大きいです。私も一度だけ国政選挙で出口調査を受けたことがあります。
それでも各放送局はいろいろな工夫をこらし番組の工夫が見られます。これからの政治の在り方なども考える機会にしたいです。
【選挙結果後のテレビの見方】
 選挙後の各党、各地の話題が放送されています。注目される当選者や大物で落選した人など悲喜こもごもは新聞と同じ。よりリアルに感じられるでしょう。その後の組閣までの過程も報道されます。そこにもぜひ注目してください。

 

学習材をどうするか
   
教科書を活用する
 まず主な教材としては社会科の教科書を活用したいです。2020年度から6年社会科の学習では最初に「政治」単元が設定されました。教科書には主権者教育に関する内容はかなり多く掲載されています。採択率が最も高い『新しい社会6政治・国際編』東京書籍版(2020年~)では「わたしたちのくらしと日本国憲法」「国の政治のしくみと選挙」を学び、「子育て支援の願いを実現する政治」(埼玉県川口市の例)か「震災復興の願いを実現する政治」(宮城県気仙沼市の例)のどちらかを選択して学習します。「いかす」というページでは「新聞を読もう」という見出しで「新聞にもっと関心をもち、政治に関して気になった記事を出し合おう」と呼びかけています。そして、「選挙の投票率に関する新聞記事」「内閣発足に関する新聞記事」「裁判に関する新聞記事」「東日本大震災からの復興に関する新聞記事」が掲載されています。
もちろん、主権者教育は6年の政治単元に限定するものではなく、3年の市区町村、4年の都道府県、5年の国土・産業・環境、6年の歴史・国際理解のどの単元でも発達段階に応じて行うことが大切です。小学校の社会科を「主権者教育」という串でさして一貫した学習プログラムをつくることも可能ではないでしょうか。

 

資料集、年鑑などを活用する
 保護者から教材費として徴収することになりますが、資料集などの副教材も活用できます。文章が少なく図、イラスト、グラフ、表、写真などが多様に配置されています。また、図書室などに置かれている『朝日ジュニア学習年鑑』などの子供向き年鑑も時事問題や統計が豊富に掲載されているので調べ学習に活用できます。

子供向きニュースマガジンを活用する 
 毎日新聞発行の『月刊Newsがわかる』、朝日新聞発行の『月刊ジュニアエラ』などのニュースマガジンは子どもの目線にたってニュースを読み解くことができるもので、日常時事問題に関心をもつことに大きな役割を果たすことができます。

 

メディアを活用する
 新聞、テレビ、ラジオ、インターネットなどは主権者教育やその前提としての時事問題に関心をもつスキルにとっては不可欠なことである。前記の「新聞の読み方」「テレビの見方」、後記の「インターネットとどうつきあうか」を参照して下さい。それと同時に、これらのスキルは学校で学ぶことも大切ですが、児童が身近な情報収集手段として個別に自由に活用していくことに意義があります。メディア・リテラシーについても考える機会をぜひつくりたいです。
 

フィールドワークを活用する
 選挙になると街の様子が大きく変わります。ポスター、選挙事務所、選挙カー、選挙演説、投票所など。街のフィールドワークを試みたいです。普段の街のようすからどのように変化したか子どもの目線で街ウォッチングしてみたい。投票所にも保護者が投票にいくならば一緒に行く体験を試みたいです。もちろん、このことは保護者の理解、承諾が前提でありますが。

インターネットとどうつきあうか

 ネットの時代でそれもスマホの時代です。デスクトップパソコンやノートパソコン、タブレットパソコンのように学校で利用してきたパソコンは今の若い世代の方々にはもう時代遅れのように感じます。今まで児童・生徒、そして我が子のようすを見てきましたが、学校でスマホを使っての教育が当たり前のように思えます。実際の選挙もインターネットでの選挙運動が解禁されています。各政党とも特設サイト、フェイスブック、ツイッター、LINEなどSNSを中心に活用しています。情報を受け取る方もスマホの活用力が問われることになります。主権者教育にもSNSの活用方法という視点が必要なのかとも思います。しかし、今すぐスマホに特化し教室で活用して学習することは現段階では無理です。デスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットパソコン、スマホを含めインターネットとどうつき合うかできるでしょうか。
 
日常、世の中の出来事に目を向ける
 新聞社や放送局のホームページを見たり読んだりします。全国紙、ブロック紙、地方紙、地域紙、外国の新聞、いろいろな放送局など多様に活用できます。
「ニュース太郎」というニュースリンク集が役立ちます。
「ヤフーニュース」「グーグルニュース」なども役立ちます。スマホでニュースを読むことも当たり前の時代です。いろいろなアプリがあり手軽に読めます。
 子ども向けのニュースサイトとして「濃縮還元ニュース」があります。
 
世の中のできごとをどのように学習するか
 「学びの未来研究所」の「NIE ネット学ぶ」と「世の中なるほど探検隊」にはどのように世の中のことを学んだらいいかのヒントがあります。ぜひ、参考にして下さい。
 「NIE ネットで学ぶ」
 「世の中なるほど探検隊」

 

政治、選挙に関心を持つために
 日常のできごとに関心をもったならば、ぜひ政治や選挙にも関心を持ちましょう。主権者教育で最も大事なところではあります
 
毎日新聞「VOTE18 選挙に行こう」
「選挙ドットコム」
総務省「選挙について」

 

政党のホームページ
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新聞社の選挙ページ
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毎日新聞
日本経済新聞
産経新聞
東京新聞

 

 

ネット選挙に積極的にアプローチ
 選挙期間中には積極的にSNSでネット選挙にアプローチしてみましょう。選挙に関する分からない用語もネットで調べ、知識が身につけばさらに積極的になることでしょう。
 各政党の党首もそれぞれSNSで発信しています。


家庭でどう取り組むか

 1954年生まれの私が中学生や高校生の頃、家では父と兄がよく政治や選挙のことを話し合っていたことを記憶しています。やや立場が違う二人が熱心に語っていたのでした。当時は今のようなネット社会などなく、新聞、テレビ、ラジオが主な情報獲得手段でした。お酒も入り二人の議論は長く続き、大人の社会は大変だと感じていたものでした。
 現代の家族で政治や選挙のことを話し合う雰囲気はどのくらいあるのでしょうか。おそらくあまりないのではないでしょうか。親となった私が三人の子どもとどうだったか振り返ると、上の二人の息子が高校生までは野球や陸上競技に取り組んでいたこともあり、世の中のことを親子で考えるという時間はあまり持てませんでした。二人とも現在は社会人として独立して長男には3人の子どもがいます。たまに家に帰ってくる時には政治や世の中の出来事について話し合うことはあります。二人ともSNSでいろいろな情報は持っているので、こちらから教えて欲しいという姿勢で接しています。歳が少し離れた娘は小学生の頃、特にスポーツに打ち込んではいなかったので二人で出かける機会を結構持つことができました。NIE(Newspaper in Education)に家族で新聞を学ぶファミリーフォーカスという手法があります。私は新聞を二人で読むことだけでなく、記事に出てきた場所を二人で訪ねるということを試みました。具体的には、東京の等々力渓谷を訪ねる、東京の多摩川で富士山の初冠雪を見てスケッチする、川崎大師の風鈴市に行く、東急多摩川線の「現代アート」を見に行く、江ノ島電鉄途中下車の旅、東京での雪体験、雪国(津南)での雪体験など行いました。記事をもとに五感を生かした体験を通して、わずかながらもリテラシーの育成とコミュニケーションを図る試みでした。このように、子どもが小さいときに親子でニュースを通してのコミュニケーションがある程度とれると、高校生ぐらいになってもニュースになるような社会のできごとに関して、コミュニケーションがとれる可能性があるのでは考えています。

 

娘が高校生の時の我が家での実践
 高校生の娘と父親の関係は微妙です。一般的にはコミュニケーションをとることの難しさがあるのではないでしょうか。そんな関係で、政治や選挙の話題をストレートに持ち込むことは親の押し付けにしかならないこともあります。そこで、まず普段からどのように親子関係を築いていくのか、日常心がけていたことを紹介します。
 娘は高校生で初めて運動部に入部したため、疲れている帰ることが多くなかなかコミュニケーションがとれませんでしたが、そんな時でも学校生活や友だちのことを食事中に聞いていました。まず、親としては聞く姿勢を身につけることが最も大切なことなのではないかと実感しています。そして、運動部で必要なものや洋服などの買い物を一緒にするなど、親子の関係を家庭内に限定せず外でも行動できる機会をたまにはもつことも必要でした。いつも順調に親子関係を構築できているわけではないのですが、このような機会は貴重でした。
 世の中の出来事に関しても、ストレートにニュース番組を一緒に見て話題にする前に、面白い視点で構成している番組を一緒に見ることを勧めます。現在でも日本テレビ系列で月曜日の23時59分から24時54分まで放送している「月曜から夜ふかし」という番組があります。もちろん、親子で月曜から夜ふかしできないので、毎回録画をしていました。この番組はホームページで「関ジャニ∞村上信五とマツコ・デラックスがお送りする『月曜から夜ふかし』この番組は、世間で話題となっている様々な件に対してちょっとだけ首を突っ込んだり 突っ込まなかったりする番組です。」と概要の紹介をしています。面白い角度から世の中のできごとを分析している番組です。この録画を見て意見を言い合うことから始めていました。このことから、ニュースになった世の中の出来事に発展させていくようにしました。
2015年安保法案が国会で議論されているときに、YouTubeで「教えて!ヒゲの隊長」「ヒゲの隊長のパロディのパロディ(笑)」が話題になりましたが、高校生の娘とスマホで両方を見比べてどちらの方が理にかなっているか考えてみました。また、よく娘が現代社会の言葉に関してそれはどういう意味か聞いてくるので、およそ説明しあとはネットで調べることを促しました。逆に私があまり詳しくないSNSについては教えてもらいことにしていました。おそらく、社会のできごとに関して親子でコミュニケーションとるツールはネットではないかと考えています。親が一方的に教え込むことではなく、親子でのコミュニケ-ションを図るには子どもの得意なところを生かした方法が求められます。ネットを使うことでは、「インターネットとどうつきあうか」で紹介した毎日新聞のホームページにある「vote18 選挙に行こう」が手がかりになりました。そこから発展して子どもが関心あるSNSからの情報を通して考え合ってみたらどうでしょうか。あくまで、子どもから教えてもらうという姿勢が大切です。

『やさしい主権者教育 18歳選挙権へのパスポート』(東洋館出版)の執筆箇所より修正・追加して掲載