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魅力的な私立小学校とは 

 その30の指標+ベスト5


 私立小学校に39年勤務しました。その間、自分が普段から考えるとともに、職場の同僚や全国の私立小学校の研究仲間と「魅力的な私立小学校」とはどんな学校だろうか話し続けてきました。もちろん、児童や保護者がその学校生活に満足していること、これが最も重要な指標でしょう。これに勝るものはありません。
 しかし、国立や公立と異なり私立には高い入学金、授業料、寄付金など保護者の負担は相当なものです。日本の小学校のわずか1.2%しかない学校に通学するのですから多くの「魅力的な指標」があるはずです。
 ここでは、こんな「魅力的な指標」を考えてみたいと思います。ただし、これは私個人の意見であって、決して普遍的な指標ではありません。自戒を込めて言えば、私個人として実践できてこなかったものもあります。また、特定の学校を念頭に置いたものではないことを予めお断りさせていただきます。さらに、ご紹介させていただく順番は決してランク付けしているものではなくアトランダムに提示しているものです。
 
○児童の満足度が高い
○保護者の満足度が高い
○伝統がある
○新しい教育へのチャレンジがある
○ブランド力が高い
○教育理念・学校の特徴が教師間で共有されている
○個々の教師の力量が高い
○卒業生の教師が一定数いる。
○卒業生の保護者が一定数いる。
○カリキュラムが一貫している
○学習指導要領を超えている
○ユニークな授業・学校行事が多い
○教師・児童・保護者の連携が良くできている
○学習・生活の規律がとれている。
○管理職のマネージメント力が高い
○教師間で協力的な姿勢が見られる
○系列の中高大学の教育力・研究力が高い
○保護者の要望がある程度実現できている
○能力が高い児童を伸ばせている
○もう一歩の児童を高めている
○課題がある児童に適切な指導ができている
○不登校の児童に適切な指導ができている
○家庭への協力体制が十分できている
○卒業後小学校での体験が生きている
○施設・設備が整っている
○ICTが進んでいる
○読書の量が多い
○1日のスケジュールに余裕がある
○放課後のケアがある
○校内・周辺の環境がいい

 



 

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私が考える魅力的な私立小学校の指標ベスト5

 30の指標をアトランダムに提示しましたが、「これではどの指標が大切なのか分からない」と思われる方も多いでしょう。それで、個人的な意見ですが「私が考える魅力的な私立小学校の指標ベスト5」を紹介します。


①    系列の中高大学の教育力・研究力が高い
 ブランド力と関連するのですが、やはり私立小学校に入学できたならばその系列の大学へエスカレーターで進学できることは、その後の受験とは無縁で質の高い教育を受けられる可能性があります。

 「私立小学校とは」で紹介した「小学校から大学まで一貫した学校」慶應義塾幼稚舎、慶應義塾横浜初等部、早稲田実業学校初等部、立教小学校、立教女学院小学校、青山学院初等部、同志社小学校、立命館小学校、関西大学初等部、関西学院初等部などがこれにあたります。大学から入学することでも人気が高い大学に進学できる小学校です。


 小学校から大学まで一貫した大学でも、その大学には進学しないで他大学を受験するケースも見られます。そのような学校では他大学への受験、特に私立大学への進学状況が1つの目安になります。

 国公立大学を受験するならばあえて小学校から私立に行かなくても中高一貫した私立高校や公立高校からでも進学実績が十分ある学校はたくさん存在しています。

 そこで、『中高一貫校・高校 大学合格力ランキング2022年入試版』ダイヤモンド・セレクト2021年8月号から、難関私立大学合格力を目安にいくつかの学校を見ていきます。まず、難関私立大学は次の14大学を指します。早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、立命館大学、同志社大学、関西学院大学、関西大学、南山大学。
 難関私立大学合格力とは、難関私立14大学ののべ合格者数を基に算出します。難関私立大学ごとに、主に河合塾による偏差値(ボーダーランク)を参照して算出した難度を各高校の合格人数にかけて加重平均した合計を2021年度卒業生数で除したもので、数値が高いほど難関私立大学への合格力が高いことになります。合格力40以上を挙げてみました。

大学まである小学校から進学できる中学・高校(都内)
 東京都市大学付属中学校・高等学校   164.0
 帝京大学中学校・高等学校       127.5
 白百合学園中学高等学校        101.9
 東京都市大学等々力中学校・高等学校   92.3
 東洋英和女学院中学部・高等部      79.4
 学習院中・高等科            54.7
 淑徳中学高等学校            53.4

 成蹊中学・高等学校           44.4
 聖学院中学校高等学校          44.2
 聖心女子学院中高等科          41.9
 
 また、大学まではなく高校から難関私立大学に受験する学校があります。それらの学校で難関私立大学合格力40以上の学校を挙げてみます。

大学までない小学校から進学できる中学・高校(都内)
 雙葉中学校・高等学校         118.6
 暁星中学校・高等学校         112.1

 光塩女子学院中等科/高等科       92.3
 晃華学園中学校高等学校         81.2

 宝仙学園中学校・高等学校        78.6

 東京女学館中学校・高等学校       49.9
 田園調布雙葉中学高等学校        48.6
  
②    伝統がある
 やはり私立小学校では伝統があり、その伝統により裏付けられた大きな特色がその学校の方針となっています。
 日本の私立小学校では都道府県ごとの私立小学校に設立年を付けました。また、終わりの方に明治時代、大正時代に設立した私立小学校34校を挙げています。
 慶応義塾横浜初等部、早稲田実業学校初等部、同志社小学校、立命館小学校、関西大学初等部、関西学院初等部は比較的最近設立された小学校ですが、系列の中学・高校・大学は歴史がある伝統的な学校、大学ですので小学校も伝統がある
学校と捉えることができるでしょう。
 大きな変化が起こっているのが、カトリックの女子校です。カトリックの女子校ではシスターが伝統的に不可欠な存在です。現在多くのカトリック女子校ではシスターが不在な状況が多くあり、身近にシスターに接する機会が減少してしまいました。このことは児童・生徒への影響だけでなく教員にも大きな影響を与えています。私が教員になった頃には日常多くのシスターからカトリックのことや学校の伝統、女子児童への接し方など学ぶことができました。放課後お茶を飲みながらの雑談からも多くのことを教えていただきましたが。

 

③    教育理念・学校の特徴が教師間で共有されている
 教育理念や学校の特徴を具体的な形にして進めるのは学校の教師です。その教師間で理念や特徴がばらばらに捉えられて共有されなければ学校全体の教育力が低下することになります。保護者や児童にとって教師によって異なる考えでは戸惑ってしまい不安になり、学校不信にも繋がることでしょう。私立学校としては教育理念・学校の特徴が教師間で共有されることは不可欠なことと考えます。

 

④    学習指導要領を超えている、ユニークな授業・学校行事が多い、個々の教師の力量が高い(3つの指標を関連させました)
 私立小学校が公立小学校とは異なる面がお受験と授業料の徴収だけでは存在意義がありません。国の教育の基準である学指導要領を超え、レベルの高いユニークな授業や学校行事が多いことがその存在意義になります。そのためには個々の教師の力量が高いことが求められます。

 私が私立小学校の教員になった頃、いくつもの私立小学校に学指導要領を超えてユニークな授業をするユニークな教師の方々がたくさんいらっしゃいました。これらの先輩の先生方から多くのことを学ばせていただきました。偶然でしたが、2月の東京では珍しい大雪の日に「雪国のくらし」の授業を発表する夕方からの私立の研究会に会場である私立小学校を訪ねました。大雪で暗い中に到着した私をその学校の先生方が玄関で迎え入れて下さり、ユニークな授業のつくり方を先輩の先生方から学ばせていただいたたこともありました。

 学習指導要領を基準にして作成された教科書をどのくらい超えて授業が行われているかその目安になることでしょう。

 

⑤    新しい教育へのチャレンジがある
 伝統に裏付けられた実践にプラスして、現代社会の変化に対応して新しい教育へのチャレンジも必要なことでしょう。
IT(Information Technology)は情報技術という意味で、PCなどのコンピュータやインターネットなどのネットワークに関する技術のことです。これに関連してプログラミングもあります。コロナ禍で対面での授業ができなくなった時、オンラインでの学習が公立と私立では大きく対応が異なったことが話題になりました。もちろん、ネット社会の問題点も考える取り組みも大切でしょう。
 今までの一斉授業のような伝統的な授業の在り方を根本的に見直し、異学年での児童ひとりひとりの個性的な学習を進める私立の小学校も設立されてきています。これらの学校の多くは私立小学校の全国的な団体である、日本私立小学校連合会に加盟しないで学校の独自性を発揮しているようです。
 既存の伝統的な学校が新しい教育へのチャレンジは大切ですが、そのチャレンジに計画性があり、教員、保護者、児童に十分理解してもらい安心して取り組めるものになって欲しいと考えます。